■あいまい語を置き換えて、文章のネジを締める
これらの「形容詞」や「指示語」「ビッグワード」は、誰が読んでも同じように伝わる表現に置き換えていきましょう。
この作業を、私は「文章のネジを締める」と呼んでいます。
相手によっていろんな解釈をされてしまう、いわば「ふわふわ浮ついた文章」から、誰もが同じ解釈をしてくれる「きちっと固定された文章」にするのです。
この「ネジ締め」をするだけで、文章が明確になり、誰が読んでも誤解なく伝わる文章になります。
それでは、具体例を紹介していきます。
「形容詞」を数値化する
これは私自身の経験ですが、初めてビジネス書籍のライティングをしたとき、編集さんから「形容詞はいっさい使わないで書いてください」と言われて、驚いたことがあります。
というのも、それまで私が原稿を執筆していた女性ファッション誌では、「美しい」「かわいい」「甘い」「若々しい」「優しい」……などの形容詞のオンパレードで、いかにキャッチーな形容詞を使うかがライターの腕の見せどころだったからです。
■なぜ形容詞を使ってはいけないのか
しかし、これら「美しい」「かわいい」などの形容詞は、人によって受け取り方がまちまちになる、あいまいな言葉です。
ファッション誌であれば、夢やあこがれを提案する媒体なので、それぞれの読者が思い思いにイメージをふくらませてもいいのですが、ビジネス文章では、受け取る相手によって解釈が変わる文章はトラブルのもと。形容詞はビジネス文書にはご法度なのです。
形容詞だけではなく、「静かな」「親切な」などの形容動詞や、「速く」「上手に」などの副詞も、人によって解釈が変わるあいまいな言葉が多いので、できるだけ避けましょう。
メールや企画書の中で「『すぐに』提出します」「『強い』インパクトが期待できます」などの言葉を使っていませんか? 「すぐ」も「強い」も主観的な言葉で、人によってとらえ方が変わります。ですから、これらの言葉を、誰が読んでも誤解がない文章に変えていきます。
先ほどの例でいうと、
「『強い』インパクトが期待できます」→「昨年比3割増の収益を見込んでいます」
などの数値に置き換えて、誰が読んでも同じとらえ方ができる文章にします。
同様に、「人気のレストラン」であれば、「2017年上半期のA社の口コミランキングで、エリア2位の人気レストラン」とか、「3カ月以内の予約は100パーセント取れない人気のレストラン」などと数値を交えて書きます。このように数値で説明することで、書き手と読み手の間にある「人気」という言葉に対する受け取り方のズレを防ぎます。
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