北朝鮮名物アナ、核実験発表で再び表舞台に テレビ放送に初登場したのは1971年

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1994年、同国建国者である金日成氏の死去にあたり、放送中に涙を流した。その息子の金正日氏が2011年に死亡した際も、黒い喪服を着て、声を震わせながら国民にニュースを伝えたのは、彼女だった。

李氏は、正式には2012年に退職したものの、その後も重大ニュースの発表時にはたびたびテレビに登場している。

3日の核実験を発表したことで、現指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長が、党や軍の幹部を更迭・粛清するなか、李氏の健在ぶりが浮き彫りになった。

国外においても馴染みの顔に

北朝鮮による6度目の核実験を巡って国際情勢が緊迫化するなかで、「ピンクの婦人」として知られる李氏は、国外において、同国政権の馴染みの顔となっている。

「何かが起こった時は、彼女がアナウンスするものだ」と、東京に住む男性は言う。

シドニーに住むクレジットマネージャーのマット・ウォーカーさんは李氏の今回のアナウンスついて、「とても感情豊かなアナウンスで興奮しているのが伝わってきた」と言う。「爆弾の爆破でなぜあれほど興奮するのか分からない。非常に不思議に思える」

中国中央電視台(CCTV)が2012年に行った珍しいインタビューで、李氏は、北朝鮮の次世代のアナウンサー育成に協力したいと述べていた。また、そうした若いアナウンサーの方が、今日のテレビ視聴者向けには適切だとも語っていた。

李氏はまた、自分の優しい側面は、北朝鮮の視聴者のためにとってあると述べた。「北朝鮮の国民向けに原稿を読むときは、大きな声を上げず、優しく視聴者に語りかけるべきだ」

(Christine Kim 翻訳:山口香子、編集:下郡美紀)

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