労働分野の規制緩和、安定的雇用と応分の給与こそ企業の責務

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労働分野の規制緩和、安定的雇用と応分の給与こそ企業の責務

「結婚どころか親元に寄生して、自分一人の身ですら養えない状況をかれこれ十数年も余儀なくされている。31歳の私にとって、自分がフリーターであるという現状は耐えがたい屈辱である。(中略)年老いた父親が働けなくなれば、生活の保障はないのだ」

『論座』2007年1月号に掲載され、大きな反響を呼んだ赤木智弘氏の「『丸山眞男』をひっぱたきたい--31歳フリーター。希望は、戦争。」の一部である。

彼の毎日は「夜遅くにバイト先に行って、それから8時間ロクな休憩もとらずに働いて、明け方に家に帰ってきて、テレビをつけて酒を飲みながらネットサーフィンして、昼頃に寝て、夕方頃目覚めて、テレビを見て、またバイト先に行く。この繰り返し。月給は10万円強」(同)。

こうした筆者が抱いている“希望”とは、「国民全員が苦しむ平等」が実現する「戦争」だという。

NHKスペシャル「ワーキングプア 働いても働いても豊かになれない」(06年7月23日放送)でも、業務請負の低収入ゆえに住居を失い、公園で生活する34歳の男性が描かれていた。苦労して見つけた洗車の仕事の収入は、月10万円だった。

期せずして二つの例で、月収10万円という数字が出てきた。月10万円(年収120万円)とはどんな金額か。これは生活保護の受給額より少ないのである。東京23区の例だと、20~40歳の単身者の生活保護支給額は月13万7400円である。

今、戦後かつてないほど労働と雇用の問題が顕在化している。若者の間で小林多喜二の『蟹工船』がベストセラーになる現象も目を引いた。

先日の秋葉原での無差別殺人事件の容疑者も、派遣労働の低賃金、将来への絶望感、職場での疎外などが犯行の動機の重要な要素だったのではないかといわれている。

統計からもこうした非正規雇用労働者の増加は裏付けられる。総務省の労働力調査統計によると、08年1~3月期における正規雇用は3371万人。対前年同期比で22万人減少(2期連続)しているのに対し、非正規雇用は1737万人で11万人増加しており、非正規雇用の割合は34・0%と0・3ポイント上昇している。

なぜ、こんなことになったのか。カギは、推し進められてきた規制緩和にある。問題が集約的に噴出している派遣労働について見てみよう。

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