「ハービー」「ユーロ高」、9月相場を点検する バカンスが終わり、FRB、ECBはどう動くのか

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筆者にとって、8月の想定外は世界の異常気象だ。

8月の東京では、21日連続で降水が観測され、1977年に次ぐ2位の長雨記録。また日照時間は計83.7時間(速報値)で、8月として観測史上最短となった。筆者が冷夏長雨で、「夏の消費が悪くなった」という点で思い出すのは2006年だ。当時の東京は6~7月の日照時間が極めて短く、気温も平年値を下回っていた。その結果、2006年7~9月期実質GDP(国内総生産)で、個人消費は前期比マイナス0.7%となった。内訳を見ると、生鮮食品の値上がりで購入が手控えられ、非耐久財が足を引っ張った。

今年の4~6月期は、天候安定のもとで非耐久財が押し上げに大きく寄与しただけに、足元7~9月期は消費の落ち込みを覚悟したほうがよさそうだ。ちなみに、2006年のときは輸出が強くて全体のGDPは年率プラス2.0%としっかりで、景気拡大局面は頓挫せずに済んだ。しかしながら、今年の4~6月期は、輸入増加と輸出伸び悩みで、外需はマイナス寄与となり足を引っ張った。外需の弱さが続くなら、今年7~9月期がマイナス成長になる可能性もあるだろう。

「ハービー」の被害額は米GDPの1%?

筆者は8月第4週に夏休みを取り、ポルトガル、スペインを旅してきた。長雨の東京とはまったく異なり、南欧は真夏の太陽ギラギラだった。実際にポルトガル滞在時に、山火事のニュース映像を見たが、6~7月は南欧、8月は東欧で40度を超える熱波が報告されている。筆者は幸い最高気温38度で済んだが、日焼け止めクリームをしっかり塗っていても、顔と手の皮膚が焼かれるように痛かった。

日本の蒸し暑さと南欧の熱さはかなり違う。人間でも耐えがたいのだから、農作物に悪影響が出るのは当然だ。足元の商品市況を見ると、中国需要を背景にしたメタルの上昇のほうが顕著だが、今後は農産物の上昇に注意したい。

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