北朝鮮、「弾道ミサイル日本列島超え」の意図 日本列島越えは初めてではないが…
北朝鮮が8月29日早朝、日本の上空を通過する弾道ミサイルを発射した。日本政府は発射後、全国瞬時警報システム「Jアラート」で、北朝鮮のミサイルが日本列島の上空を通過したもようだと緊急速報し、北海道や東北、北関東などの住民に避難を促した。
日本列島越えは初めてではない
北朝鮮のミサイルが日本列島を越えるのは初めてではない。1998年8月には「テポドン1号」が東北上空を飛び越え、一部は約1600キロ離れた太平洋に落下した。2009年4月にも「テポドン2号」の改良・派生型とみられる銀河2号が発射され、東北地方の上空を通過、3000キロ以上飛翔した。
2012年12月にも、テポドン2号の改良・派生型とみられる銀河3号が発射され、先島諸島付近の上空を通過した。国際機関への事前通告が無く、日本の上空を通過するミサイルを発射したという点では、1998年8月のテポドン1号に似ている。
なぜ今なのか。
米韓両軍は8月21日から31日まで朝鮮有事に備えた米韓合同演習を韓国各地で行っている。北朝鮮は米韓が金正恩朝鮮労働党委員長の殺害を狙っていると激しく反発。26日の3発の300ミリ多連装ロケット砲の改良型の発射も、29日の弾道ミサイルの発射も、これに対するけん制や対抗措置とみられる。
また、外交問題を見るうえでは、その国の内政に常に目を光らせないといけない。北朝鮮がこの時期、8月25日の先軍節、(昨年5度目の核実験を行った)9月9日の建国記念日、10月10日の朝鮮労働党創建記念日を迎え、金委員長は核ミサイル実験を強行し、国威発揚を通じて体制維持を図っている。国連安保理の新たな制裁決議に直面し、国際的に孤立を深めている中、米国という敵対国とやり合えばやり合うほど、自らの権威づけに役立て、内政問題からも国民の目をそらすことができる。
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