激売れするミュージシャングッズの仕掛け人 音楽とファッションは最強コンビだ

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ブラバードのすぐ後を追っているのが、ソニー・ミュージックエンタテインメントのアーティストグッズ部門スレッド・ショップで、ナズやア・トライブ・コールド・クエスト、エイサップ・ロッキーらとコラボしている。スレッド・ショップを率いるのはフランシス・ウォン。顧客を「キッズ」と呼ぶ彼女は、ジェイ・Zらが1999年に立ち上げた衣料ブランド、ロカウェアで働いた経験を持つ。

実のところ、スレッド・ショップを立ち上げたのはブラバードのブラシックだ。彼は財務部を皮切りに、ソニーに12年間在籍していた。一方のウォンも、2015年までブラバードで働いていた。

「期間限定」「店舗限定」で飢餓感をあおる

スレッド・ショップのバイスプレジデント、フランシス・ウォン氏(Andrew White/The New York Times)

今では2人は、音楽とファッションにまたがる有望なビジネス領域を手中に収めようと1種の軍拡競争を繰り広げている。

ブラバードは1997年に創業され、それから約10年後にユニバーサルに買収された。今では世界40カ国に進出、ザラやH&M、ユニクロ、セルフリッジズといった小売業者と取引がある。昨年、ユニバーサルのグッズ販売部門の売上(ブラバードがその大半を占める)は前年比13%増の3億1300万ユーロに達した。ブラバードではプリンスやビートルズ、トゥパックといった過去の大物アーティストやユニットのグッズも取り扱っている。

それに比べるとスレッド・ショップの歴史はずっと浅い。創業は2009年で、当初はコンサートツアー中のアーティスト向けのTシャツを扱っていたが、もっと高価格帯の限定商品や限定コレクションを売り出すようになった。今ではアーバン・アウトフィッターズやパックサン、コールズなどブラバードが取引する大手小売業者の一部ともビジネスをしているし、世界各国に進出している。

アーティストのグッズを売り出す時は、ブラバードもスレッド・ショップも期間限定販売という形を取ることが多い。「まずは需要や切迫感を創出する震源となる小売業者を選ぶ」と、ブラバードのフランク・バートロッタ上級副社長(国内販売担当)は言う。「それによってものすごいエネルギーが生まれる。『3日間の期間内に手に入れることができなかったら、次にいつ手に入るかわからない』という感じになるからだ。そうしたら、今度はもっと大手の小売のパートナーの出番だ」

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