「フランスの超天才」が予見する2030年の生活 ジャック・アタリ氏「労働の苦痛は激減する」
海水淡水化設備により、飲料水の利用事情は大きく変化する。そのことはイスラエルの例からもわかる(イスラエルでは、飲料水の55%は海水淡水化設備からのものであり、下水処理水の86%は灌漑のために用いられている)。
2030年に海水を淡水化するコスト(2016年のコストはすでに1990年の3分の1にすぎない)は、さらに3分の1になるだろう。これは特に中東地域やアフリカ・サブサハラ地域の沿岸部にきわめて大きなプラスの影響をもたらすだろう。
より、最適化されていく
センサーを大規模に導入することによって、作物の成長を確認して、水量、日当たり、温度などを調整できるようになる。
ゲノム研究の進歩によって作物や家畜の品種改良が可能になる。農畜産学がいわゆる「農学的利益」となる遺伝子を突き止めるため、作物栽培や家畜飼育の環境が最適化される。
さらに、農薬や化学肥料を使用しない有機農業が行われるようになり、農業全体に変革がもたらされる。
今日、農地全体に占める有機農業の割合は1%にすぎないが、有機農業はまもなく世界人口を養うのに十分な収穫量を確保できるようになり、農民たちは満足できる収入を得られるようになる一方で、自然環境や現場で働く人たちの健康も守られる。
エネルギーを節約することが主なエネルギー源になるだろう。エネルギーの節約は、モノのインターネットやスマートメーターによって管理される。
石炭、石油、天然ガス、原子力、水力は利用され続け、さらには太陽光や風力をはじめとする再生可能エネルギー源の開発が進む。
エネルギー効率の改善、太陽光パネルおよび蓄電池の価格の大幅下落により、分散型エネルギー生産が普及する。それまでエネルギーを利用できなかった農村部の人々がエネルギーを利用できるようになるのだ。
2030年、40カ国(特に、ロシア、インド、中国、アメリカ)において原子力発電に1兆ドル以上の資金が投資される。老朽化した原子力発電所の廃炉が遅れることはないだろう。
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