トヨタが「WRC再参戦」でつかんだ成果と課題 もう一つのホームグラウンドも気になる
「シーズンが終わったときにいちばん強いチーム/クルマになっていることで、来年はその花が咲く……というイメージです。これまでGAZOO Racing時代を含めて、人材育成やクルマ好きの助成が目的で、あまり勝つことをアピールしていませんでしたが、今年4月から『GAZOO Racingカンパニー』となったことで、レースに勝つ=マーケティングやプロモーションだけでなく、いいクルマづくりの重要な要素の一つと認識しています」
「レーシングカンパニー」であるということ
GAZOO Racingカンパニーの考え方はほかのカンパニーとは少し異なり、「レーシングカンパニー」であるという点だ。レースという極限の世界を通じて人を鍛え、その人がクルマを作る。そのクルマを世に出して売って利益を出し、継続的なモータースポーツ活動を行うというミッションだ。つまり、ある一定の収益の貢献、会社の経営の貢献もしっかりと行う必要がある。そのための準備も着々と進められており、まもなく新スポーツカー戦略も発表される予定である。
組織という意味ではGAZOO Racingファクトリー発足当初のようなファミリーのような人数や規模ではないが、これまでのGAZOO Racingが大切にしてきた「トヨタの壁をぶち破る」「変革への挑戦」「草の根活動」に関しては、いっさいブレはない。
ちなみに今回はTOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのホームグラウンドでの優勝というすばらしい結果となったが、もう一つのホームグラウンドは「日本」である。これまで世界選手権と名の付くモータースポーツのほとんどは日本で開催された。ちなみにWRC「ラリージャパン」が2004年から2010年まで計6回開催されており、日本での復活も望まれている。トヨタとしてはどのような考えを持っているのだろうか?
友山氏は「広報がいなければ……」と笑いながらも、「当然、豊田社長はやりたいという思いは強いでしょう。もちろん、簡単な道のりではないのもよくわかっていますが、われわれがWRCに復帰した悲願でもありますからね。ファンに寄り添ったモータースポーツの形は新城ラリーでもトライをしていますが、フィンランドラリーのような『マニアじゃなくても行きたくなる』雰囲気を日本に持ってきたいですよね」。
WRCはトヨタの復帰、そしてこれまでの活躍により日本で再び注目度が上がっているものの、残念ながら日本メーカーが撤退してからの空白期間が大きかったため、クルマ好きの中でもピンとこない人がいるのも事実である。
また、かつてのラリージャパンはスバル/三菱/スズキなど他の日本自動車メーカーが参戦していたが、今はトヨタの孤軍奮闘である。ただ、トヨタは5年前から全日本ラリーの一つである「新城ラリー」に協賛を行い、いまや4万人が集まるイベントに成長している例もある。実現のための課題は山積みだが、今のトヨタならやってくれるかもしれない。もう一つのホームグラウンドでヤリスWRCの勇姿が見られるのは、そう遠い話ではないかもしれない。
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