「東京メトロ」上場に向け必要な施策は何か

都営との乗り継ぎ改善はどう進める?

それでは、東京メトロの顧客満足度向上を図るための施策は何か。1つ目は、東京の地下鉄に、東京メトロと東京都交通局(都営地下鉄)の2つの事業者が存在する複雑な運営体制を利用者が意識せずに利用できる運賃制度の構築を挙げたい。

初めて東京の地下鉄を利用する人にとって、どの路線が東京メトロなのか、都営地下鉄なのか意識するのは容易なことではない。現行制度では、両事業者を乗り継ぐと運賃は1回に限り70円割引となるが、東京メトロだけで移動する場合と比べて割高になってしまう。

実際、東京に2つの地下鉄事業者が存在することを知らない東京以外の地域からの来訪者も多い。三重県の自宅に家族を残し、都内に単身赴任しているある会社員は「上京するまで、東京の地下鉄事業者が2つあることをまったく知らなかった。PASMOの引き去り金額を後でチェックして実際に運賃制度を調べてみて初めて気がついた」と話す。

こうした声に対して、東京メトロの山村明義社長は「国土交通省、東京都、東京都交通局と当社の4者で、どういうやり方がお客様の利便性や負担感の軽減になるか、あるいは両地下鉄の経営に与える影響について研究を進めている最中。内容についてまだ方向性を出すに段階には至っていない。今後とも、4者の検討を深めていき、特に東京都交通局とはよく調整したい」と説明する。

JR方式で都営と運賃通算化を

筆者としては、運賃通算制度を採用し、運賃収入をJRグループのような営業キロに応じて配分する方式が参考になると考えている。たとえば、東京メトロ半蔵門線錦糸町駅―(住吉駅乗り換え)―都営地下鉄新宿線西大島駅間2.0kmの場合で考えてみよう。半蔵門線錦糸町駅―住吉駅間は1.0km、都営新宿線住吉駅―西大島駅間も1.0kmである。仮に東京都交通局の運賃体系に合わせる場合、片道大人普通運賃(きっぷ)は180円であるから、東京メトロと東京都交通局にそれぞれに90円(=180円×1.0km÷2.0km)ずつが配分されることになる(発券手数料や税金はここでは無視)。

2つ目は、「東京メトロ線全線定期券」(以下、全線定期券)の価格設定の見直しである。同定期券の発売価格は1カ月1万7300円、3カ月4万9310円、6カ月9万3420円である。一方、1日乗車券(現、24時間券)が2015年2月10日に710円から600円に値下げされた。たとえば、全線定期券を2月1日に購入した場合、28日分使用できる(うるう年を除く)が、24時間券を28日分購入した場合は1万6800円となり、全線定期券より500円安い。

さらに、首都圏1都7県以外の地域からの旅行者に対しては東京メトロ線・都営地下鉄線全線が乗り降り自由の24時間券が800円、48時間券が1200円、72時間券が1500円で発売されている。「東京メトロ線全線定期券」の値下げとともに、都営地下鉄も利用できる「東京メトロ線・都営地下鉄線全線定期券」(仮称)の発売も提案したい。

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