「東京メトロ」上場に向け必要な施策は何か 都営との乗り継ぎ改善はどう進める?

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3つ目は、主に通勤・通学時間帯の有料着席保証列車「通勤ライナー」の設定である。着席ニーズに応えることで顧客満足度の向上を見込めるとともに、料金収入による収益確保を図ることができる。たとえば、千代田線・JR常磐線直通、および東西線・東葉高速鉄道線直通の「通勤ライナー」の設定を検討してはどうだろうか。

山村社長は「着席のニーズはあり、大事な話だと思っている」としながらも、「他社との相談になるので、それを踏まえての話になる。これから先、相直(相互直通)他社でも機運が出てきて、当社と相直他社の両方がメリットを感じることが必要だ。まだ今のところ、相談をする動きにはなっていない」と、実現には直通する会社同士の機運の醸成が必要との考えを示す。そうであれば、他社との調整が不要な、東西線内完結の「通勤ライナー」をまず検討してはどうだろうか。

千代田線と小田急線の間には、小田急電鉄60000形MSEを利用した直通特急列車が2008年3月15日から運行されている。直通特急は現在のところ小田急車両による片乗り入れとなっているが、東京メトロによる専用車両を用意して相互乗り入れとする方法もありうる。これに対して、山村社長は「片乗り入れ以上のところは、まだ社内で構想する段階には至っていない」と述べるにとどめた。なお、MSEの特急列車を常磐線取手駅へ延長することも考えられるだろう。

「駅ナカ」今後の展開は

そして、収益基盤強化の方策として、駅ナカビジネスの拡大・強化についても積極的に考えたいところである。東京メトロは「エチカ」「メトロピア」などのブランドで、関連会社を通じて駅ナカビジネスを展開している。今後の駅ナカビジネスのさらなる発展を図るために、異業種との提携を積極的に進める方向性もありうる。

たとえば、西日本旅客鉄道(JR西日本)は大阪駅構内にドン・キホーテを誘致している。山村氏は「ドン・キホーテを入れるかどうかは別として、お客様のニーズが高い店舗があれば、入れていきたい」と述べており、今後の展開に期待したい。

また、駅ビル商業施設として「エソラ池袋」「メトロ・エム後楽園」などがあるが、今後は駅直結の商業施設をほかの小売事業者や不動産会社などと共同で開発することも一案である。J.フロント リテイリングが森ビルや住友商事などと共同開発したGINZA SIX(銀座シックス)のような斬新な商業施設を設け、鉄道利用者を増やすようなアイデアがあってもいいだろう。

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