三菱UFJ信託銀行、1兆円級の海外買収を狙う

グループの三菱東京UFJ銀行に燃やす対抗心

だが三菱UFJ信託は今回もタダでは取引に応じなかった。同じ発表でMUFGはグループの投資信託運用会社である三菱UFJ国際投信を三菱UFJ信託の完全子会社とすることも決定。三菱UFJ信託をMUFGの資産運用部門の中核企業とすることを鮮明にしたのだ。

信託銀行の業務は、通常の銀行業務に加え、金銭や有価証券などの信託業務、そこで必要となる資産運用、さらに不動産仲介や証券代行、相続関連など併営業務からなっている。信託や併営業務は文字どおり独壇場だが、実は資産運用でも市場で主役級のプレーヤーだ。企業年金や金融・事業法人などを顧客に持つが、なかでも企業年金向けの運用残高シェアで信託銀行は過半を占めている。

金融の中で成長期待が高いのは資産運用事業

しかも、資産運用業界は金融の世界でも数少ない成長期待のある分野の一つだ。長年、「貯蓄から投資へ」と叫ばれ、預貯金から投資信託などのリスクのある金融商品へのシフトが期待されたが、まだ実現していない。ただ昨今、金融庁は国民の資産形成を促進する環境作りを加速。「フィデューシャリー・デューティー」(顧客本位の業務運営)への取り組みを金融機関に促しているほか、個人型確定拠出年金(iDeCo)や積み立てNISAなど税優遇制度の拡充も進めている。貯蓄からのシフトが進めば、投資信託などの資産運用規模が拡大することになる。

MUFGにおける「資産運用カンパニー」の地位を手に入れたことで、「信託銀行が今後、どうなるか。今までに例のないようなビジネスモデルになる」と池谷社長は語る。

今回公表した1兆円規模のM&A構想では、「資産運用事業はMUFGとしても最も伸ばしていきたい分野であるため、MUFGの資本も活用する」と池谷社長。海外の資産運用会社の株価は高いが、チャンスを逃さずにできるだけ早い時期に買収の実現を目指す。大型M&Aのほか、特定の運用手法に特化するブティック型運用会社などの買収もありうるという。

また、これまで英アバディーン社など中堅資産運用会社に資本参加した経験があり、今後のM&Aでは過半出資を狙うという。「全部日本人で経営していくのはグローバルな資産運用にはそぐわないが、日本の資産運用事業拡大と相乗効果があり、単なるオーナー管理ではない経営管理を行っていく」(池谷社長)。

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