48歳振付師がホームレスと踊り続ける理由 路上生活で生まれた表現、10周年ツアー敢行
以前は宅配便の仕事をしていました。家庭の不和で家を出たのがきっかけで、仕事もおカネもない状態に。今は路上生活をしながら、連絡が来ると、日雇いで公園や道路の清掃をします。1日当たり、1000円ぐらいの予算で暮らしています。
「年と共に膝を痛めたり、体力がなくなったりで疲れるときもあります」というコイソさん。ところが、練習で見せてもらった踊りの迫力にびっくり。体をのびのびと動かし、目線も決まっていました。「やることがあるのはいい。何もなかったらぼけちゃうから」
助成、投げ銭、クラウドファンディング
10周年の今年、アオキさんは東京近郊の公園や路上をめぐるツアー「日々荒野」を計画しました。屋外での公演は許可を取るのが大変。それでも、間近で見てもらい、多様な生き方に触れてほしいそうです。そして、初めて制作スタッフを公募しました。劇場や福祉、教育など各分野から10人が集まり、顔を合わせて話をしています。
ツアーは2018年9月まで、15か所で予定。初日、6月24日の公演は午後6時から東京・千代田区のテラススクエアで。観覧料金は「投げ銭方式」で、お客さんが決めた金額を入れてもらいます。
こうした活動を続けるために、費用の面は課題といいます。これまではアオキさんが中心に、ビッグイシューの協力で運営してきました。昨年は「コニカミノルタソーシャルデザインアワード」でグランプリを受賞、賞金をもらって助かったそうです。数年前からは、公演ごとに、メンバーにギャラを渡しています。
「フェスなどの共催だと15万円ぐらいの費用ですが、屋外で照明や音響を確保してメンバーにギャラを払うと、1回の公演で40万円ぐらい必要。お客さんの投げ銭は、会場によってはできないので課題です。練習を積み重ねているメンバーの努力は大変なもの。ダンスを通して、働いて生活費を生み出す流れができれば」
この企画は、アーツカウンシル東京「東京芸術文化創造発信助成」の対象になりました。
公演は映像にまとめ、世界に発信していくそうです。
(文:なかの かおり/GARDENジャーナリスト)
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