映画「ポケモン」が20周年でこだわったこと 定番を捨て、あえて「最初の出会い」を題材に

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その取り組みの一環として、ポケモン映画では初となる大人向け試写会を実施。会社帰りの社会人でも楽しめるよう、通常の試写会の開始時間よりも遅い時間にスタートした同試写会は、大勢の大人の観客が来場して大盛況だった。

そうした取り組みが功を奏し、大人世代が多く来場。東宝が初日に行ったアンケートでは、20代が27.7%、30~40代が12.4%を占めた。7月22日には発声可能上映会も行われ、ポケモンで育った大人たちが詰めかけていた。

ゲームをもとにしたマルチメディアコンテンツとして驚異的な成功をおさめた「ポケモン」。とくにテレビアニメシリーズは、愛らしいピカチュウというキャラクターを前面に押し出したことで、女性にもファン層を拡大させることに成功している。

Pokémonは日本発というのが認知されてきた

ロケット団のムサシ(右)、コジロウ(左)、ニャース(中央)もアニメ化開始からの「レギュラー出演者」だ ©Nintendo・Creatures・GAME FREAK・TV Tokyo・ShoPro・JR Kikaku ©Pokemon ©2017 ピカチュウプロジェクト

そして、人気は世界を駆け巡り、「Pokémon」を世界的なブランドへ押し上げる原動力となった。特に劇場版第1作となる『劇場版ポケットモンスター ミュウツーの逆襲』は全世界で驚異的な大ヒットを記録。米国では日本の映画作品としては最高記録となる、約8500万ドル(約94億円)の興行収入を稼ぎ出している。

「ポケモン」アニメはその国ごとに吹き替え版を制作したり、キャラクターの名前をアレンジしたりするなど、現地の人に親しみやすいようにローカライズ化されている。それが、ポケモンが世界で受け入れられた理由のひとつだといわれている。しかし、そのためにポケモンが日本のコンテンツだと理解している人が少なかったが、「今では、ポケモンが日本で生まれたということを理解してくれている」(岡本氏)というように、ここにきて変化も見られるようになった。

今回の映画のワールドプレミアイベントは現地時間7月6日にフランス・パリで実施。初めて日本公開前に海外で上映されたが、日本語版の字幕付きにもかかわらず、会場には3000人を超える観客が駆けつけ、大盛況だったという。日本が誇るマルチメディアコンテンツとして認知され、世界的な人気を誇っていることがわかる瞬間だといえるだろう。

20周年という節目の年を迎えたアニメ版「ポケモン」。いずれにせよ、ここから始まる新たなスタートとして、「サトシとピカチュウの出会いの物語」というのはまたとない題材となったようだ。

壬生 智裕 映画ライター

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みぶ ともひろ / Tomohiro Mibu

福岡県生まれ、東京育ちの映画ライター。映像制作会社で映画、Vシネマ、CMなどの撮影現場に従事したのち、フリーランスの映画ライターに転向。近年は年間400本以上のイベント、インタビュー取材などに駆け回る毎日で、とくに国内映画祭、映画館などがライフワーク。ライターのほかに編集者としても活動しており、映画祭パンフレット、3D撮影現場のヒアリング本、フィルムアーカイブなどの書籍も手がける。

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