ドラクエXI、異例の「同時発売」に透ける狙い

PS4版と3DS版で二兎を追って二兎とも得る

ゲームハードの進化に伴い表現や演出の幅を変えることはあっても、根本的なシステムは意図的に残し続けている。さらに、全作が中世ファンタジーを基にした「剣と魔法の世界」を踏襲しており、現代風の機械文明をメインにすえることはしない。ドラクエⅠを遊んでもドラクエXIを遊んでも、ほとんど同じ世界観だ。この古臭さと紙一重の「変わらなさ」こそ、ドラクエの個性となっている。

30年前の技術、まさかの復活

懐かしいドット絵の復活も(※画面はすべて開発中のものです。© 2017 ARMOR PROJECT/BIRD STUDIO/SQUARE ENIX All Rights Reserved.)

さらに、最新作の「ドラクエXI」の3DS版では驚きの試みが行われている。今のゲーム業界ではロストテクノロジーとなりつつあるドット絵の復活だ。まるでスーパーファミコン時代のような表現である。

しかもファンサービス的に少し取り入れるのではなく、すべてのグラフィックをドット絵で書き下ろし、3Dポリゴンとドット絵を選べるようにするという手の込みよう。かと思えば、PS4版はPS4版で、ハード性能を最大限に生かしたHD画質の表現を行っている。

つまり、ドラクエXIは事実上「HD画質版」「3D版」「ドット絵版」の3タイトルを同時開発、同時発売したのだ。性能が似たハードで同じグラフィックを使いまわしたり、売れてから別ハードに移植したり、リメークを行うならまだしも、性能が違いすぎるハードで、あえて別表現を行い同時発売するなど前代未聞といえよう。

なぜ、ドラクエはここまでするのだろうか。その根底には「ドラクエは誰のためのゲームなのか」という問いかけがある。

ドラクエのプレーヤーは「ゲーマー」だけではない

ドラクエのターゲットはゲーマーだけではない。「昔の子ども」と「今の子ども」、言い換えれば「ドラクエと共に育った大人」と「今の子ども」をターゲットに据えている。そして、ゲーマーとそれ以外の層とでは、求めるものが明確に異なっている。

ドラゴンクエスト黎明期の子どもたちは現在30~40代になっており、子育ての真っ最中だ。自分達がかつて夢中になったゲームを子どもと共に楽しめる、話題にできるのは大きい。その最新作ともなれば、なお魅力的だろう。

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