英国流SUV「ランドローバー」が頭打ちの理由 加速できない「砂漠のロールスロイス」の現状

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しかし、SUVメーカーとしては、他社の新規参入を静観しているわけにはいかないだろう。

それだけに新モデル「ヴェラール」にかかる期待は大きい。エントリーモデルのイヴォーク(502万円~)と、走行性能を前面に打ち出した「レンジローバー・スポーツ」(860万円~)の間の価格帯に位置し、ポルシェの「マカン」やBMWの「X4」を競合車種に位置づけている。これまで押し出してきた力強さとは一味違う、優雅で洗練されたイメージを打ち出したい考えだ。

ジャガーと食い合うリスク

今回のヴェラールは、人気の高いジャガーのF-PACEとプラットホームを共有した。同じグループ内で両者が食い合う可能性はないのか。

「レンジローバー・ヴェラール」とプラットホームを共有したジャガーのSUV「F-PACE」(記者撮影)

「レンジローバーとジャガーは、コンセプトがそれぞれオフロードとスポーツカーでまったく異なる。客層も違うので心配はない。開発という点ではプラットホームを共有したことで、コストダウンにつながった」と、ハンソン社長は冷静だ。

台数よりもブランド――。それだけでSUVの激しい競争を乗り切ることは容易ではない。性能や乗り心地の独自性を伝えるには、顧客との接点が重要になる。そのためハンソン社長は、「今後2~3年で、店舗数を(現状の44店から)さらに増やしていく」と話す。既存ディーラーの店舗を増やしつつ、新たなディーラーとも契約するなどして、販売網強化を進めていく方針だ。

はたして日本の自動車ユーザーに英国の”心意気”は伝わるのか。ランドローバーの本気度が試されている。

森川 郁子 東洋経済 記者

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もりかわ いくこ / Ikuko Morikawa

自動車・部品メーカー担当。慶応義塾大学法学部在学中、メキシコ国立自治大学に留学。2017年、東洋経済新報社入社。趣味はドライブと都内の芝生探し、休日は鈍行列車の旅に出ている。

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