英国流SUV「ランドローバー」が頭打ちの理由 加速できない「砂漠のロールスロイス」の現状
同じグループのジャガーは、ここ数年で大躍進を見せている。2013年に発売したジャガー初のSUV「F-PACE」は、セダンやクーペではないジャガーという目新しさからヒットとなった。昨年の国内販売は約8割増と躍進。グローバルでも台数は過去最高レベルに達している。
なぜランドローバーのSUVは伸び悩んでいるのか。
世界的なSUVブームは、2000年代に始まった。2000年のBMW「X5」発売を皮切りに、各メーカーが続々と新型車を投入。近年は原油安も追い風となり人気が拡大。高級スポーツカーメーカーの伊マセラティや英ベントレーがSUVを投入したほか、伊ランボルギーニも開発を進めており、”ドル箱”モデルとなりつつある。
プレミアムコンパクトSUVが市場を席巻
日本では、米国で主流の大型車よりも街乗りでも使いやすい「プレミアムコンパクトSUV」の需要が高い。輸入車では販売上位の常連となっているBMW「X1」やベンツ「GLA」に加え、アウディも今年、小型SUV「Q2」を300万円を切る値段で発売した。
一方、ランドローバーははるか昔から、岩場や山道を走破するようなオフロード性能に優れた高級SUVを開発してきた。価格帯も500万~1300万円台と、ほかの輸入車と比べても手が届きづらい印象がある。
「そもそもレンジローバーはニッチで特別な客層がターゲットだ。決して大衆化することはない」。日本での伸び悩みについて、ジャガー・ランドローバー・ジャパンのマグナス・ハンソン社長を直撃すると、そんな言葉が返ってきた。
「いいスーツを買うなら、ドイツではなくロンドンの仕立屋が軒を連ねるサビルロウでオーダーメードしたいと思うだろう。英国の職人技術やオーダーメード性については、日本人もよいイメージを持っているはずだ」
それが悪いことではないが、と前置きしたうえで、ハンソン社長は低価格帯まで車種を拡大しているベンツを挙げ、ドイツメーカーとは異なる戦略を描いていることを強調。英国メーカーらしさを妥協せずに打ち出すことが、ランドローバーの戦い方だという。
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