スカイマーク、復活をかける「無遅刻」の誓い 航空会社にとって「定時出発」が超重要な理由

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新千歳空港の「スカイマーク」カウンターには、手荷物が20kgまで無料で持ち込めることを伝える横断幕が下げられている(写真:スカイマーク)

新千歳空港のチェックカウンター近くには「手荷物はお一人様何個でも合計20kgまでは無料」と書かれた横断幕が下げられた。

客の多くはスカイマークもLCC(格安航空会社)のように手荷物を出すと追加料金が取られると思い込み、北海道で買い込んだ土産を機内に持ち込むことが多いという。

手荷物「20kgまでは無料」アピールの深い理由

だが、機内に持ち込む荷物が増えると客室乗務員のサポートも増え、出発時間が遅くなりかねない。

それを防ぐために「20kgまでは無料」をアピールし、手荷物を預けてもらい、定時運航を実現しようとしているのだ。おカネがあまりかからない改善策を積み重ねる涙、涙の工夫である。

定時性向上委員会の事務局幹部は「目指すのは定時運航No.1」と言い、JALを追い越すことを目標にしている。スカイマークなど新規参入組はANAやJALに比べてチェックインカウンターや搭乗ゲートの場所が遠くにあり、比較すると客の移動にはどうしても時間がかかる。不利な条件を地道の努力の積み上げでクリアする考えだ。

民事再生法の適用申請をした際に2020年の再上場を表明したが、今はそれより前倒しでの再上場を目指している。原油安が業績を下支えしてはいるが、この状況がいつまで続くかはわからず、大きなシステム投資には慎重にならざるをえない。支援を受けているANAとのコードシェア(共同運航)もシステムの統一ができず協議は進んでいない。

必ずしも有利な経営資源を持っているわけでないスカイマークは「定時運航向上」という愚直な手口で再上場への近道を探るしかない。米映画『がんばれ!ベアーズ』は、弱小少年野球チームが、奮闘して強くなっていく様子を描いた名作だ。スカイマークが「ベアーズ」のように幸運をつかめるか、正念場である。

安井 孝之 ジャーナリスト・Gemba Lab代表

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やすい たかゆき / Takayuki Yasui

1957年兵庫県生まれ。日経ビジネス記者を経て、1988年朝日新聞社に入社。東京経済部、大阪経済部で自動車、流通、金融、財界、産業政策、財政などを取材した。東京経済部次長を経て、2005年に編集委員。企業の経営問題や産業政策を担当し、経済面コラム「波聞風問」などを執筆。2017 年4月、朝日新聞社を退職し、Gemba Lab株式会社設立、フリージャーナリストに。日本記者クラブ企画委員。著書に『これからの優良企業 エクセレント・カンパニーからグッド・カンパニーへ』(PHP研究所)など。

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