渋谷駅前が「荒れた所」から観光地化した事情 仕掛け人は元博報堂の40代異色区長だった!
先にご紹介したハロウィーンシーズンにおける渋谷駅前スクランブル交差点の歩行者天国化は、上記のような長谷部区長による政策方針が具体的な施策として実現したものであった。
このような長谷部区長のナイトタイムエコノミーの振興政策の原点は、同氏が2003年に立ち上げ2010年までの7年間代表を務めたNPO法人グリーンバードの活動にある。グリーンバードは主に若者たちが集い、ボランティアで街のゴミ拾いをして歩くという渋谷区表参道で始まった非営利活動である。
ハロウィンで大々的なゴミ拾い活動
ゴミ放置問題はナイトタイムエコノミー振興においてつねに地域住民との軋轢を生む問題の一つであるが、長谷部区長はそのような問題に対して従前より積極的な取り組みを行ってきた。この渋谷区表参道で始まったグリーンバードの活動は、その設立以降、瞬く間に全国の各繁華街に広がっており、現在では北は北海道から南は沖縄まで全国の主要な都市において地元の若者たちを中心としたボランティアチームが形成されているほか、シンガポール、フランス、イタリアなど世界10カ国に支部も持つ国際的な活動となっている。
このグリーンバードは、渋谷駅前のスクランブル交差点において若者が集結し始めた当初のハロウィーンにおいても、イベントの開催後から翌日朝までのゴミ拾い活動を行っている。当然ながらマスコミによって大々的に報じられることとなった2016年のハロウィーンにおいても、グリーンバードは大規模なゴミ拾い活動を実施し、清浄な地域環境の維持に貢献した。
実はナイトタイムエコノミーの振興においては、このような予想される各種問題への能動的な問題対応が非常に重要であり、それがナイトタイムエコノミーに対する後の社会評価につながるのである。
ナイトタイムエコノミーが生み出す喧騒をネガティブにとらえるのではなく、そこに一定の社会的コントロールを付加しながら地域の活性化の手段として取り込んでゆく。そのような長谷部区長による渋谷再生に向けた試みは、少しずつ実を結び始めている。
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