「安倍vs岸田」は禅譲か挑戦か、それが問題だ 保守本流のプリンスは、どのように動くのか

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その岸田氏の8月改造人事での選択肢は「留任か党3役への横滑りか無役の3択」(側近)とされるが、岸田派内の"武闘派"は「経験のない党三役を求めるべきだ」(若手)と主張し、岸田氏自身も「そろそろ党務を」と周囲に漏らしているという。二階俊博幹事長の再任が確実視されるため、その場合の狙い目は、政調会長か総務会長となるが、「来年の総裁選出馬を念頭に置けば、政策通の岸田氏が望む政調会長より、首相との距離がとれる総務会長の方が動きやすい」(側近)との声も出る。

ただ、「任命権者は首相なのに、岸田氏の都合で党3役というのは甘い。そんなわがままを言うなら無役だ」(首相周辺)との反発もある。総裁3選が既定路線化している首相もここにきて「岸田氏は来年どうするのか」と神経を尖らせているとされ、首相が「外相留任か経済産業相への横滑りで内閣に封じ込める」(同)ことで来年の総裁選出馬の芽を摘もうとする可能性も否定できない。その場合、前回人事での石破氏と同様に、岸田氏がどう対応するかが焦点となる。

岸田氏の出方次第で総裁選は一変

すでに出馬が確実視される石破茂氏(撮影:梅谷秀司)

2018年9月の自民党総裁選の構図も「岸田氏の出方次第で一変する」ことは間違いない。

すでに出馬が確実視される石破氏に加えて岸田氏も出馬することになれば安倍1強での「無風選挙」とはならず、多数派工作の熾烈化による党内の分断は避けられない。その場合、首相が3選を果たしても党内求心力は低下し、史上最長政権での憲法改正実現などの首相の悲願が実現困難となる可能性もある。

このため、岸田派内でも「閣外に出て来年の挑戦に備えるべきだ」との"主戦論"と「安倍政権を支えての禅譲狙い」との"自重論"が交錯している。最終的には首相が岸田氏の存在をどう位置付けるかが「今回の安倍人事の最大の肝」(官邸筋)となることは間違いない。

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