出口見えない「異次元緩和」に潜む恐怖の未来 景気悪化や超円安、超インフレもありえる

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FRBに続いてECBや英国、カナダの中央銀行までもが金融緩和から引き締めへと舵を取ろうとしている。日本だけが量的緩和を続けていくことになるわけだが、具体的に何が起こるのか、その可能性を考えてみよう。

やがて日本の景気は失速する

➀日銀に資金が集まり景気が悪化する

これは、すでに起きていると考えたほうがいいが、中央銀行が国債を買い上げているために、民間企業とりわけ民間銀行の資金が日銀に吸い取られていくことになる。その状態を避けようとして導入したのがマイナス金利だが、日銀は国債を買い上げて紙幣を印刷し続ければ、紙幣は日銀の「負債」となり、債務がどんどん膨らんでいくことになる。

それでも量的緩和を続けなければならない日銀が次に打ち出したのは「量から金利へのシフト」だ。市中の金利上昇によって民間の資金需要が抑制される「クラウディングアウト」を避けるためのイールドカーブの調整という前人未踏の領域を日銀は歩き続けている。その影響は未知数だが、景気が良くなるための条件とはなりそうもない。やがて、日本の景気は失速するはずだ。

➁日銀のバランスシートが膨らみすぎて出口戦略が実現不能になる

現在の日銀のバランスシートは500兆円弱だが、その資産のうち国債が424兆5954億円(4月30日現在)、全体の85%を占めている状態だ。異次元緩和が始まった2013年4月には134兆円だったことを考えると、ざっと3倍強に伸びた。

言い換えれば、日銀が出口戦略を始めたときには、この買い集めた国債を放出(売却)しなければならないことになる。実際に、米FRBが発表したバランスシートの正常化では、米国債を月額60億ドルずつ、MBS(住宅ローン担保証券)を同40億ドルずつ削減(売却)し、最終的には月額で各300億ドル、200億ドルのペースで縮小していく意向を示した。そのうえで、最終的にはピークとなったバランスシート=4.5兆ドル(約495兆円)からリーマンショック前の9000億ドルに近い状態にまで縮小していきたいようだ。

FRBも、日銀も同じなのだが、国債などの保有資産を縮小していくということは、金融市場に国債やETF、あるいはMBSを売却していくことになる。当然ながら、需給の関係から国債などの価格は下落する。価格が下落する、ということは金利が上昇することになる。

日銀がこのまま国債の買い入れを続けていけば、いずれは出口戦略をとることになる。仮に米国と同じように、保有資産の縮小=国債の売却を実施した場合、金利はあっという間に2%に届くと予想されているが、米国と同じ資産規模を考えると2%では止まりそうもない。3%、4%、あるいはそれ以上に上昇する可能性が高い。

日本の財政赤字は、対GDP比でいまや250%にも達しようとしている。政府の一般予算の3分の1は国債の利払いで消える状態が続いている。金利が1%上昇しただけでも、国債費の歳出は大幅に上昇することになる。簡単に言えば、この方法は採用できないことを意味している。

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