出光興産、公募増資で統合を「強行突破」か 統合反対の創業家は増資差し止めへ

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 7月3日、出光興産は、公募による新株発行を決議したことを明らかにした。発行株式数は4800万株。同社の手取り概算額合計は最大で約1385億円。写真は都内で昨年8月撮影(2017年 ロイター/Kim Kyung Hoon)

[東京 3日 ロイター] - 出光興産<5019.T>は3日、公募による新株発行を決議したと発表した。発行株式数は4800万株。実施した場合、昭和シェル石油<5002.T>との経営統合に反対している出光創業家側が保有すると主張する、3分の1超の議決権比率が約26%に低下する。創業家側は新株発行の差し止め仮処分を裁判所に申し立てる方針だ。

出光昭介名誉会長ら創業家は、統合に必要な株主総会での拒否権を発動できる3分の1を超える議決権(33.92%)を保有すると主張。同氏らは「体質・社風」が異なる昭和シェルとの統合は出光興産の創業以来の理念を損なうとして反対している。

出光興産は、今回の公募増資で最大で約1385億円を調達する。調達資金は関連会社の設備投資などに充てるほか、昭和シェル石油の株式取得に伴う短期借入金返済資金の一部に充当する予定という。広報担当者は「創業家の議決権比率の低下を意図してものではない」と説明している。

ただ、創業家側は、この増資が「創業家の保有する議決権比率の希釈化(薄めること)を目的とすることは明らか」との声明を発表。「直ちに差し止め仮処分を申し立てる」(同声明)との方針だ。

(浦中大我)

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