22歳寝たきりの詩人が紡ぐ「生きている証拠」 わずかに動かせる指先とペンで書き続ける

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そうおもったそのひから

じぶんのしには じぶんのなまえでしょめいをし

べつのじんかくには べつのなまえでしょめいをした

するとわたしのしは じんかくによって

はっきりとちがいがあらわれた

 

こうげきてきなじんかく

こどものじんかく

そして わたしじしんのじんかく

どれもわたしであって わたしではなかった

 

しをかくにつれ

はりさけそうな心がかいほうされていった

なんぺんもかきつづって からっぽになり

またすぐいっぱいになった

 

それがくりかえされ わたしは

べつじんかくとの

つきあいがわかってきた

 

しをかくと あいてのこともみえてきた

そしてあるひ そのたのじんかくはとざされた

それは まったくのじぶんじしんのしょうりだった

 

わたしはいま ひとりのじんかくとしていきている

それはたくさんのしをつづってきて

心をじぶんで はあくできたからだ

 

いま はたちのひをむかえることができたのは

たくさんのあいじょうにつつんでくれた

りょうしんのおかげであるのはもちろんのこと

たくさんのしが わたしじしんを

いかしてくれたということに ほかならない

 

しは わたしがいまのわたしになるための

たいせつなとおりみちだった

 

しをかくことは

わたしじしんをかいほうするこういだった

 

わたしのしをよむすべての人たちに

わたしがたちなおったように

あきらめずにいきてもらいたい

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