子どもを褒めない親は「見る目」がなさすぎる どんな子もやる気になる「目から鱗の褒め方」

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この「まず褒める。部分を褒める」方法は、子どもだけでなく、あらゆる相手・状況において効果的です。以前、何かの雑誌で読んだのですが、優秀なデパートの店員は、近くを歩いているお客さんに向かって、「そのバッグ、すてきですね」などと話しかけるそうです。自分のバッグが褒められた客は、店員に対してよい感情を持ち、心がオープンになります。そして、よい雰囲気で会話を続けるうちに、だんだん自分の売りたい商品にいざなっていくそうです。確かに、見ず知らずの客に、いきなり「うちの商品はいいですよ。安いですよ」などと話しかけても売れるはずがありません。まずは、その客の褒められる部分を見つけ出して褒めることで、望ましい展開が可能になるのです。

夫婦の間でも同じです。夕食を目の前にして、夫が「今日の夕食はギョーザしかないのか」などと言えば、奥さんは強く反発するでしょう。でも、「いつもありがとう。今日のギョーザも隠し味のオイスターソースが効いていて、おいしいね」などの言葉が先にあって、その後で「野菜サラダもお願い」と言えば、奥さんも素直に受け入れやすくなります。

職場でも同じです。いきなり「なんだこれは! こんな企画書では具体的な進め方がまったくわからないじゃないか」と言ってしまう上司では、部下のやる気を引き出すことはできません。そうではなく、「いいアイデアだね。これは思いつかなかったよ。あとは関連部署と具体的な進め方を詰めるだけだな」というように、まずは褒めてから言いたいことを言うようにすることが大切です。

「よい部分を見つけ出すぞ」という意識

「この人は何の取り柄もない」と思う相手がいるかもしれません。でも、それはあなたの見る目がないだけなのです。つねに部分に注目して、少しでもよい部分を見つけたら、そこを心の拡大鏡でよく見てください。そして、褒めてあげてください。「よい部分を見つけ出すぞ」という意識さえあれば、必ず見つけられます。そして、だんだんそれが自然にできるようになります。すると、どんな人についても、さらには、どんな物事についても、よいところに目がいくようになります。人や物事の見方自体がプラス思考になってくるのです。

親野 智可等 教育評論家

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おやの ちから / Chikara Oyano

長年の教師経験をもとにメールマガジン「親力で決まる子供の将来」を発行。読者数は4万5000人を超え、教育系メルマガとして最大規模を誇る。『「自分でグングン伸びる子」が育つ親の習慣』など、ベストセラー多数。人気マンガ「ドラゴン桜」の指南役としても知られる。全国各地の小・中学校、幼稚園・保育園のPTA、市町村の教育講演会でも大人気。ブログ「親力講座」もぞくぞく更新中。講演のお問い合わせとメルマガ登録は公式サイトから。Xで毎日発信中。

 

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