スズキ会長が株主総会で拍手喝采だった理由 インドでの工場増設も新たに発表

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これに対し、株主からは「インドは他社との競争も激しくなると思うが、今後も首位を維持できるのか」との質問も出た。これにはインドに駐在するマルチスズキインディアの鮎川堅一社長が強気に応じた。

「インド経済は順調に成長している。2016年の4輪市場は304万台となり、前年比109%成長している。その中でマルチスズキの国内販売は144万5000台と前年比111%伸びて、マーケットシェアは47.4%を確保した」と圧倒的な強さを説明した。

そのうえで、「インドの人口は今後10年で中国を抜いて世界一になる。多くは25歳以下の若い世代だ。4輪市場はまだまだ伸びる余地がある。現在は世界5位の市場だが、今後10年でおそらく日本を追い抜くだろう」と分析する。

一方で競争激化も認め、「すでにインドには世界的な自動車企業が10数社入っているが、最近では仏プジョーが新たに進出表明し、米テスラも出てくる話がある。今後は中国メーカーも進出するといわれている。一方、米GMがインド国内販売から撤退すると発表した。ポテンシャルがある反面、生存競争が厳しい市場だが、市場にあった新商品投入と販売網の拡張、生産能力の拡大で今後も首位を守っていく」と語気を強めた。

新技術をコンパクトカーに落とし込む

総会の会場に展示されたスズキの最新車種(記者撮影)

ほかに株主からは、次世代車の開発競争についての質問も出た。中堅メーカーであるスズキの状況を不安視する声もあったが、俊宏社長は「新技術開発の競争は本当に激しくなっている。乗り遅れないように努力していく。スズキが得意とするコンパクトカーに適した技術にどう落とし込むか、しっかりやっていく」と力強く応じた。

電気自動車(EV)について俊宏社長は「当社には2輪車、電動車いすのセニアカーもあるので、パーソナルモビリティとしてどうEVを活用するかも考えながら展開を進める。もちろん4輪車でも将来に備え、戦えるように準備している」と話した。

俊宏社長の議事進行で総会が淡々と進んでいく中、最後の質問者が燃費不正について質問した時だった。国内営業の担当役員が信頼回復が進んできたことを説明した後、修会長が口癖である「あのー」と、この日初めて声を発した。実に総会が始まって約2時間が経っていた。

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