スズキ「ワゴンR」は再び王座を奪還できるか 4年半ぶり全面刷新、軽自動車トップを狙う
かつての「不動の王者」は再び輝くことができるか。
スズキは軽自動車の基幹モデル「ワゴンR」を4年半ぶりに全面刷新し、2月1日に発売した。かつて車名別販売ランキングで首位に君臨していたワゴンRはその座から陥落して久しいが、再び奪還できるかが注目される。
発売に合わせ都内で記者会見した鈴木俊宏社長は、「ワゴンRは軽自動車の真ん中にある車。大変重要な車種であり、大きな期待をしている」と語った。大幅刷新したデザインや室内空間の広さとともに、カメラと赤外線レーダーで歩行者や車を検知してブレーキが作動する安全システムなどをアピールした。このシステムの軽自動車への搭載は、スズキとして初めてだ。
また、発進時にモーターのみで走行できるマイルドハイブリッドシステムを搭載したほか、新型のプラットフォーム(車台)で20キロの軽量化を実現し、燃費は最も良いモデルでガソリン1リットル当たり33.4キロメートルを達成した。軽ワゴンの分野ではトップだという。価格は107万円~177万円。
かつては押しも押されぬベストセラーだった
ワゴンRは1993年の初代発売以降で440万台を販売。2003年度から2011年度までは9年連続で軽自動車の車名別販売台数で1位となった。登録車を含めた全車種でも2004年度から2008年度まで5年連続トップに陣取るなど、まさに黄金期を築いた車だ。
発売当時のコンセプトは「軽乗用車のワンボックスカー」。まだ乗用車といえば流線型という時代に、箱型ワゴンを投入したのは画期的だった。鈴木修会長が「セダンもあるけど、ワゴンもあーる(R)」としてワゴンRに命名したという。
軽自動車の顧客は女性が中心だったが、「大きな室内空間が若い男性にも大きな支持を得た」(鈴木社長)。こうした革新性が評価され、1993年にスズキの車として初めて、さらに軽自動車としても初めて「RJCカー・オブ・ザ・イヤー」を受賞した。2008年には2回目の賞を受けている。かつて救世主となった「アルト」と並び、ワゴンRはスズキを支える屋台骨に成長した。
だが、最近のワゴンRは存在感が薄れている。2016年の販売台数は8万1134台で軽乗用車ランキング9位に終わった。全面刷新を控えたモデル末期とはいえ、前年比25%減と落ち込みは激しい。これに対して、1位のホンダ「N-BOX」は同じくモデル末期ながら同0.8%増の18万6367台、2位のダイハツ工業「タント」が1.1%減の15万5998台とトップ争いを繰り広げており、ワゴンRは大きく差を付けられている。
無料会員登録はこちら
ログインはこちら