黒田電気「旧村上ファンド」提案可決の舞台裏 大阪で開催された株主総会で何が起きたのか
午前10時から始まった総会には130人の株主が集まった。採決の前に会場から出てきた株主は「和やかな雰囲気だった」「声を荒げるような場面はなかった」「会社側もレノ側も説明が丁寧でわかりやすかった」と口をそろえた。
ただ、取材に応じた株主の多くは自身の賛成・反対の意思を問われると「それは難しいね」と言葉を濁し、足早に去っていった。
質疑応答では、業績悪化の理由や新中期計画に質問が集中した。レノの福島啓修社長は「前回の中計(2015年5月発表)では2018年3月期に売上高4000億円、営業利益130億円が目標だった。2018年3月期の業績見通しが売上高1600億円、営業利益57億円なのはなぜか」と問いただした。
また、「大手銀行が3メガバンクに集約された時のように、業界再編は動き出すと途端に進む。黒田電気も将来の業界再編に向けて今から準備しておくべきだ」との主張もなされた。
用紙による採決へ
株主提案をしたレノが株主に質問される場面もあった。「現在の株価をどう思うか」「イグジット(出口戦略)はどうするのか」「今後も黒田電気株を買い増すのか」と問われ、福島社長は「詳しくは答えられない」と明言を避けたという。
質問は10問あまり。12時過ぎに質疑応答を終了し採決に入った。委任状獲得競争になったため、本総会には検査役が立てられた。検査役とは、採決が公正に行われているかどうかを検査する第三者で、利害関係のない弁護士が務める。このため、拍手ではなく投票による採決となった。
株主に配られた用紙には取締役候補者の名前が記載され、その下に「賛成/反対」とあり、どちらかにマルをするよう説明された。用紙の色は候補者ごとに分けられていた。「賛成」と書かれた箱と「反対」と書かれた箱を持った社員が自分の席に来たら、どちらかに用紙を入れる仕組みだ。
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