グーグルの「反競争的慣行」とは何なのか EU当局が目を光らせているワケ

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フォーダム大学ロースクールのマーク・パターソン教授は、グーグルに対する厳しい締め付けは、規制当局の最新技術やその複雑さに対する理解の限界を示していると強調。「(競争阻害行為の問題解消に向けて当局は)通常、違反企業に対して特定の行為をやめるように指示するほか、さほど例が多くはないが、特定の変更を命じる。しかし、今回はグーグルに対して『平等の取り扱い』をするよう命じただけで、いかに実行するのかには言及していない」と説明する。

警告射撃

EUの判断は、現在調査が続いているグーグルのスマホ向けOS「アンドロイド」や広告システム「アドセンス」を念頭に置いた警告射撃だ、と話すのはアジアや米国のネット・モバイル企業の動向に詳しい独立金融アナリストのリチャード・ウィンザー氏。もしEUがグーグルに対し、今後、アンドロイドOSのスマホで、コンテンツ配信サービスの「グーグル・プレイ・ストア」の利用を標準とすることを認めない判断を下せば、他の携帯電話メーカーには独自のソフトやサービスを自社製品の中心装備とする機会が生まれることになると話す。

リッツネン氏も同様の見解だ。EUが問題ありと判断した場合、アドセンスに関しては競合他社からの広告も表示できるようにするといった比較的、軽微な修正をシステムに加えることで対応が可能かもしれないが、アンドロイドは複雑な要因が多く、一筋縄ではいかないと解説する。

広告事業が2016年のグーグル親会社アルファベットの売上高に占める割合は約85%、903億ドルにも上る。グーグルが、この儲かる事業を損なうことなく事業活動に修正を加えることは、さらに重要な点になる。

法律事務所リンクレーターズのジョナス・コポネン氏は、EUが欧州地域におけるグーグルのネット検索の超・優越性を認めたことがはっきりしたとし、そのことは今後のアンドロイドやアドセンスといった継続案件の調査の土台になってくると指摘。グーグルのビジネスモデルの根本的な見直しにつながる可能性もあるとの見方を示している。

さらに、今後グーグルにより市場参入を妨げられたとする競合他社が相次いで損害賠償請求訴訟を起こすのではないか、と話す専門家もいる。

(Foo Yun Chee記者、Eric Auchard記者)

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