次世代新幹線「N700S」はどこが進化したのか デザイン決定、車内にも新たな工夫が
N700系から大きく変化するのはインテリアだ。車内の照明は普通車、グリーン車ともにLEDによる間接照明を採用し、天井の形状を工夫することで車内の照度を均一化。さらに荷棚の部分にも照明を設け、停車駅に近づいた際に明るくすることで荷物の置き忘れがないよう注意を促す。「車内放送やテロップと連動して荷棚が明るくなり、停車駅に近づいたことを知らせる」(JR東海)イメージだ。N700系では荷棚下にある空調の吹き出し口は側面パネルと一体化させて大型化し、室内温度も均一化を図るという。
座席も変わる。グリーン車全席と普通車の窓側席などに設置しているコンセントを普通車でも全席に設置するほか、グリーン車のリクライニングシートは回転の中心を足のくるぶしとすることにより、太もも裏側への圧迫感を減らして長時間の乗車でもより快適になるという。普通車も背もたれと座面が連動したリクライニングシートになる。
また、全席へのコンセント設置と合わせて見のがせない点が「異常時の利便性向上」だ。現行のN700系の場合、停電時は男性用の小便所を除いてトイレが使えない。N700Sでは小型・大容量のバッテリー採用により、停電した場合でも3号車・11号車のトイレが使えるという。東海道新幹線では今月21日、架線トラブルによる停電が発生したが、N700Sは万が一の際も安心できる車両になりそうだ。
なぜ「N700」を名乗るのか
一見しただけではN700系と大きく変わらない印象を受けるものの、実際にはシステム面など大幅な進化を遂げているN700S。まったく別の形式にしてもよさそうだが、なぜ「N700」の名を踏襲しているのだろうか。その理由について、JR東海は「東海道・山陽新幹線の車両といえばN700という名前が定着している。あえて名前を変えるよりも、すでに浸透している形式名を継承した」と説明する。
現在、東海道新幹線を走る車両はN700A、N700系、700系の3種類。JR東海は2019年度までに計20編成のN700Aを投入して700系を退役させ、N700シリーズに車両の統一を図る計画だ。オリンピックイヤーとなる2020年度には、そこに次世代車のN700Sが加わることになる。
N700Sは、営業運転用の量産車よりひと足早く「確認試験車」が2018年3月に完成し、新技術の検証などを行う予定。来年の今ごろには、次世代新幹線の走る姿を見ることができるだろう。
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