意外に穏やか!?ヤマトは総会で何を語ったか 「冒頭で社長が頭が下げたのが印象的だった」

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株主から、賃金など定量的な部分は出来るだろうが、パワハラから自殺したドライバーもいることから、定性的な部分への対策を問う声も出た。これに対して経営陣は、風通しをよくすることが大切だ、内部通報制度として目安箱の活用強化や適切な管理を徹底すると回答があったという。

前期決算で利益が半減した業績悪化についてはどうだったか。元凶は単価の安い大口取引先の荷物を大量に取り込んだことにある。会場の株主からは「アマゾンは利益が出ていて、ヤマトが苦しんでいるのはおかしい」との指摘があった。

会社からは、引き受ける荷物量を減らすほか、通販会社など運賃単価の安い会社には価格を上げてもらうと述べるにとどめ、その要因となっている個別の企業名を挙げることはなかった。

ヤマトは今期も厳しい決算見通しを発表している。労務管理システムの導入などで90億円のコスト増も見込まれるためだ。さらに6月21日には未払い残業代が40億円増えたと発表しており(2017年度計上)、利益はもう一段縮む懸念も高まっている。

それにもかかわらず、総会では利益や9月にも発表予定の中期経営計画など成長戦略について、株主からの質問は一切出なかった。

元社員の株主も出席

質疑の内容は深刻なものだったが、総会自体は穏やかだったという(記者撮影)

出席した株主は総会をどう受け止めたのか。元社員で数年前に退職したという30代の男性株主は、「厳しい労働環境は10年前からすでに問題だった。何度も会社に訴えてきたが改善は見られなかった」と憤りを隠さなかった。ただ、謝罪から始まった総会に出席し「本気で変えようとしているように感じた」と話す。

逼迫した労働環境の改善を求める重い質問が相次いだものの、「穏やかでしたよ。お公家さんのような株主が多いのか、声を荒らげるといったことはなく淡々としていました」と、総会のムードを振り返る株主もいた。

会社側が議案としていた取締役8名の選任、ならびに監査役1名の選任も可決され、株主総会は波乱なく終了した。これからは9月にもメドを付けるとする大口先1000社への値上げ交渉と、そして成長戦略の策定がいよいよ大詰めを迎える。

鈴木 良英 東洋経済 記者

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すずき よしひで / Yoshihide Suzuki

『週刊東洋経済』編集部記者

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