大王と北越紀州、2割出資巡る「仁義なき戦い」 株主総会で再びバトルも決着は持ち越しへ

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2年後の2015年6月の大王株主総会。北越紀州は再び佐光社長の再任に反対する。総会に先立つ4月に業界6位の三菱製紙と進めていた販売子会社統合が破談になったのは「大王の介入があったため」と主張した。「当社は関与してない」とする大王との見解は、やはり平行線となった。

2015年末には大王が発行した約300億円の新株予約権付社債(転換社債、CB)が、新株に転換されやすい条件に設定され、株価も急落したとして、北越紀州が佐光社長ら経営陣を相手取り損害賠償請求訴訟を起こしている。転換が進んで、発行済み株式数が増えれば、出資比率が下がることも北越紀州を怒らせた。

底流には、売り上げが半分に過ぎないのに大株主として君臨する、北越紀州に対する大王の強い反発があると見られる。

北越紀州出身の取締役も外そうとする大王

過去2回の総会とも佐光社長の再任が可決された。そして2年ごとの改選期にあたる総会が、今年6月29日に行われる。冒頭の技術提携打ち切りを巡るプレスリリース乱打は、3度目の総会対決の前触れとして、ここしばらく鳴りを潜めていた両社の反目を、再び白日の下にさらけだした。

大王は総会に向けて、もう一つ、北越紀州に矢を放っている。北越紀州から大王に社外取締役として送り込まれていた近藤保之氏の退任だ。近藤氏は北越紀州の執行役員で、代わりとなる新任候補に北越紀州関係者はいない。明確な北越紀州外しだ。

北越紀州は再任する役員案に反対する姿勢をみせている。ただ、前2回同様に佐光社長以下の再任が可決されることになりそうだ。「3度目だから慣れました」と佐光社長は、総会乗り切りに余裕を見せる。総会は大王の勝ちだろう。

もっとも、総会が終わっても両社の戦いは終わらない。

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