4人以上の場で話が苦手な人に教えたい知恵 心地よい2番手を目指し、否定語は発するな

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コミュニケーションにおいて大事なことのひとつに、「相手の感情を司る脳を活性化させない」ということがあります。

感情を司る脳とは「大脳辺縁系」と呼ばれる部分で、嫌なことをされるとカッとなって反応したり、危険を感じると逃避行動を起こそうとするなど、多くの動物に備わっている「本能レベルの反応」を司っています。

この大脳辺縁系、「否定語」を言われると簡単に活性化することがわかっているのですが、たったひと言「え?」にも反応してしまうことが多々あります。

「え?」が与える悪印象

聞こえにくかったときなどに発しがちな「え?」。

約60人を対象に、話を聞いたあとに「え?」と聞き返す実験をしたところ、「感じ悪い」「少しイラッとした」といった声がたくさん寄せられました。なかには、口をつぐんでしまう人も。

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人は、自分が言ったことが当然相手に伝わるものだと思っています。

そんなとき、聞き返されるのは予期せぬ反応。「理解してくれる」という期待と、「理解してもらえない」現実とのギャップを埋めようとして脳は疲れてしまうのです。

もし、聞き取れなかったときは、自分が聞こえなかったことを最初に伝えましょう。

「ごめんね、聞こえなかった」

「申し訳ございません、聞きそびれてしまいました」

自分のミスで聞こえなかったことを先に伝えることで、大脳辺縁系では否定されたと感じにくくなるのです。

コミュニケーションの鉄則は、「伝わったことが伝えたこと」。「話すのが苦手」だと伝わらないためにも戦略的に「2番手」を射止め、相手を否定するようなフレーズには注意しながら言葉を口にしていきましょう。

岩本 武範 マーケター、行動分析士

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いわもと たけのり / Takenori Iwamoto

静岡県の鉄道会社にて、マーケティング業務に従事すると同時に、社会人博士として京都大学大学院工学研究科で、「なぜ人は物事を選択し、その行動をするのか」について研究している。これまでに分析したヒトの行動パターンは延べ3000億以上。また、1000人以上にグループインタビューを敢行した。愛娘が交通事故で脳を損傷したことがきっかけで、脳について独学で学ぶ。独自のリハビリメソッドを開発し、回復に導いた経験から、「人間の行動は脳と心の仕組みに関係している」ことを実感。そこから、脳の仕組みをマーケティングやプレゼンテーションなどに応用できないか、研究を本格化した。

研究で突き止めた脳の仕組みを応用して、鉄道会社が経営するスーパーで商品の売り上げを7倍に伸ばしたり、同社の交通系ICカードの静岡市民所有率を50%以上にしたりしている。現在は、企業人として業務に従事しながら、研究者としての見識を深め、「人はなぜモノを買うのか」「なぜ行動を変えるのか」などをテーマに研修講師としても活動。心理カウンセラーの資格も取得している。

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