能町みね子さんが始めた「夫婦(仮)」の真相 ゲイライター・サムソン高橋さんとの新生活
能:そう、実験ですよね。今まで普通にお付き合いをした男の人とは、ちゃんと恋愛的なものを踏んだし、性的関係もありましたけど、今回はそれが一切ない。ないほうがいいと思ったんです。恋愛だと「最近優しくなくなった」とか「絶対冷めている」とか考えすぎちゃうけど、最初から冷めていれば気楽。
サ:私は家の中にセックスを持ち込まない主義ですから。
結婚は「生命維持装置」
能:これまであんまりちゃんと聞いたことないけど、本当に「フケデブ」だけ?
サ:(大相撲力士の)高安とか大好きよ。高安からプロポーズされたら、みね子捨てるからね。
能:そういう危険はあるわな。ま、絶対ないと思うけど。
サムソンさんは、いわゆるゲイの中でも「フケ専」(年配好き)と「デブ専」(肥満体形好き)を公言しているが……。能町さんのほうが、サムソンさんを恋愛対象として見る可能性はないのだろうか。
能:最初からそういう目で見ていない。恋愛欲、強くないんです。モテたい欲はなくもないんですけど。
サ:能町さんはイメージよりもストレートで、素直な人。
能:ありがたい! 高橋さんは今までお付き合いした人の中で、一番レディーファーストしてくれる人だと思います。
サ:この間、能町さんの話題が出た時、能町さんがMtFということを知らなかった人がいたね。
能:結構、(新宿)2丁目ですら知られてなかったりするよね。
サ:自分は結婚なんて考えたこともなかったですけどね。ただ、ゲイってわりと早死にが多いんですよ。独身と、家族を持っている人の間で平均寿命が違う。だから、「生命維持装置」として結婚はあったほうがいい。
能:万が一、私が他の人を好きになって、高橋さんと別れたくなったら、それはもう普通の離婚と同じです。いまのところ、そうなる気がしないけど。
――LGBTや支援者らのイベント「東京レインボープライド」も今年6回目を迎え、パレードには過去最大の約5千人が参加。企業もブランドイメージの向上もねらい積極的に出展する。LGBTをめぐる環境はブームの様相を呈している。
サ:「LGBT」という言葉がキャッチーだったの。1990年代初頭、ある雑誌が「ゲイ・ルネッサンス」という特集をやった。「ゲイは優しくてセンスがいい」って。当時、私はデブ専のゲイ雑誌で連載を持ってたんですけど、「しゃらくせえな」って書いた。その頃からスタンスは変わらない。ただ、ブーム自体は悪くはないと思いますよ。