立地最強の「湾岸タワマン」が抱える不安要素

多摩ニュータウンの惨状から学ぶ対策とは?

多摩ニュータウンは1971年に入居が開始されたが、当時は高度経済成長期。都市部に大量の労働力が流入し、住宅不足が深刻化した。急増した人口の受け皿として、郊外各地に大規模団地を中心とするニュータウンが形成されたわけだが、その代表格が多摩ニュータウンだった。

当時20~30代を中心とした世代が入居したが、46年経過し、高齢化が進行している。その子どもたちは、より利便性の高い立地を求め、戻ってこないし、新規流入も起きていない。多摩市によれば、多摩ニュータウンは今後本格的な人口減少が始まると予測され、一方で高齢化率は継続して上昇し続けると推計。試算によれば2050年に、現在約10万人の多摩ニュータウンの人口が8万人を割り込み、高齢化率は約40%になるとしている。

湾岸地区は開発が急速に進み、30~40代を中心とした層が比較的短期間に流れ込んできた。その立地性向からつねに一定の需要を伴って若年層の人口流入が続くことが予想され、極端に高齢化するなどの事態は起こらないだろう。当然、それに伴い資産性も一定程度確保される可能性が高い。

もっとも、実は多摩ニュータウンでも諏訪2丁目など駅前・駅近立地は需要もあり建て替えも進んだ。やはり立地次第で価値は大きく変わるのだ。廃虚化が進んでいるのは、同じ諏訪・永山地区などでも主にバス便立地の建物群なのである。

さらには多摩ニュータウンには5階建てで階段のみといったものや、40平米で3DKといった、今となってはどうにも使い勝手の悪い物件も散見され、人を遠ざけている要因となっている。一方で湾岸地区のタワーマンションは高度成長期に建てられたマンションと異なり、間取りの融通性や、配管交換の容易さなど、一定の社会的寿命を確保できる設計にはなっている。

湾岸地区の死角は、やはり「市場」の問題

ただ、湾岸地区に死角はないのかといえば、そんなことはない。まず、大きな懸念は、豊洲市場移転問題に巻き込まれ、利便性の向上が遅れることだ。東京都の小池百合子都知事は5月26日の会見で、今夏にも可否を判断するとしていた市場移転の時期が、さらに遅れる可能性を示唆した。こうなると環状2号線やBRT(バス高速輸送システム)の整備もペンディング状態になってしまう。

2020年の東京オリンピック・パラリンピックの準備が進む中、晴海通りには、すでに大きな交通負荷がかかっている。仮に築地から豊洲へ市場が移転しないことになった場合、こうした交通網システムの計画も、あらためて見直さざるをえなくなる。すでに勝どき駅などは朝の通勤・通学ラッシュ時には人があふれパンク状態だが、交通網が充実していなければいくら都心に近くとも生活利便性に大きく欠ける。急いで通勤・通学するときにタワーマンションのエレベーターを長時間待ち、さらに駅ではエスカレーターが大混雑で先に進むことも苦しい状況が常態化すれば、湾岸地区の、特にタワーマンション住まいの評判を毀損することになるだろう。

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