東京の満員電車対策は「ロンドン」に学べ ピーク時は割増運賃、面積半分の座席も登場

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通勤ピーク時の利用客をできるだけ減らそうという施策がある。平日の混雑する時間帯に周辺部から都心部(逆向きも同様)に入ると2~3割増の運賃が適用される。つまり、混雑しない時間帯の運賃と差を付けて、時差通勤を促そうとしているわけだ。

ちなみに「ピーク」の時間帯は平日の始発~9時30分までと16時~19時。割増運賃は非接触型ICカード「オイスター」の利用者のうち、定期券を持たない「乗車ごとに運賃を支払う乗客」に適用される。

またこんな施策もある。郊外からロンドンを目指す鉄道利用者向けに「ロンドン市内交通1日乗車券付き往復券」というチケットがあるのだが、これも地元の郊外駅を平日9時30分以降に出発することを条件に大幅に値引きしている。特典を付けることで、都心へのピーク時における人の流入を少しでも食い止めようとしているわけだ。

電車遅延時は「自主的に振替輸送」も

これまでに述べたように、ロンドンの鉄道における運賃徴収は「ゾーン制」で、定期券でさえも「ゾーン1内7日間有効」とか、「ゾーン2-3内1カ月間有効」のように定められている。これはいろいろな面で利点が大きい。

ロンドン地下鉄は設備が古く、時として車両や信号などに障害が起こる。いきなり不通になってしまうことも日常茶飯事だ。だが、「ゾーン制」のおかげで、利用者自ら最適ルートを探して目的地に向かうことができる。しかも、振替ルートは地下鉄以外の鉄道でもいいし、定期券の所持者ならバス全線も追加料金なしで乗ることができる。日本とは違い、駅員から振替乗車票などをもらうという手間も生じない。

不通や大きな遅延が起きたとき、最適ルートの選択には、スマートフォンのアプリと地下鉄のほぼ全駅に付けられているWi-Fi網が役に立つ(残念ながら、携帯電話回線は地下駅構内につながっていない)。

駅名をタッチするだけで検索できる英国版「ナビタイム」。乗り換えルート確認はネット未接続でも可(筆者撮影)

英国にも、日本で親しまれている路線検索アプリ「ナビタイム」の現地版がある。起動画面が前述の「地下鉄路線図」とまったく同じ仕様で、かつ出発地と目的地をタッチすると運行情報が得られる仕組みだ。ロンドン交通局も同様の情報を出しているが、慣れない英語の地名を打ち込む手間が生じる。「ナビタイム」はバスルートの最適プランも弾き出せるので、都心で地下鉄が止まってしまったときのツールとしてなかなか役に立つ。

また、遅延の被害に遭った乗客は鉄道運営会社にそのとき使った運賃の全額を取り立てできる制度がある。請求は本来の目的地への到着時間より15分以上余分にかかった際に認められる。運営会社は、取り立て請求をできるだけ避けたいという理由もあって、遅延防止に心掛けているわけだ。

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