「日経平均2万円無理かも説」はいつ崩れるか 強気にも弱気にもなれない投資家が増加中

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とはいえ、最近の仮想通貨絡みの小型銘柄の乱舞は、過熱気味だろう。ビットコインなどの仮想通貨は、長期的にはより多く使用されていくことになるだろうが、だからと言って仮想通貨の価格が大きく上がるというわけではない。あるいは仮想通貨の相場上昇が、関連企業の収益に直接結び付くわけでもなかろう。こうした一時的なテーマによる小型株の動きに対しては、警戒的に臨みたい。

他の物色面の特徴としては、前述したように、米国における金利上昇ピッチが緩やかであるとの観測が強まったため、米ドルの対円相場が、一時の1ドル=114円台からしばしば111円を割り込むといった、米ドル安・円高気味の推移になっている。このため輸出株が買いづらくなって、やはり消去法的に、食品、建設といった、内需関連株が物色されている。あるいは輸出株でも、任天堂のような安心感が強い銘柄の株価が堅調だ。

今週は膠着状態継続、「2万円超え」は先の楽しみに

こうした「安心物色」もうなずけるところではあるが、主力輸出株の押し目買いも、中長期的には有力だろう。まず円相場については、確かに一時よりは円高気味だが、ほとんどの輸出企業は、米ドル円相場は105~110円で想定している。それに比べれば、現在の為替相場は、まだ若干ながら円安水準にある。

そもそも最近の輸出数量は、円相場にかかわらず、海外景気の持ち直しで、増勢が持続している。特に設備投資の回復が、各地で進みつつある。これが、輸出株の中でも、設備機械や設備関連の機械部品、電子部品に関連した企業の収益を、持続的に押し上げている。

内需株の「安心投資」に、外需株の押し目買いが徐々にではあろうが重なって行けば、相場全体もゆっくりと上値を探って行くだろう。このように、中長期的には(たとえば夏場にかけては)明るいが、その前の膠着状態が今週に当たると考え、今週の日経平均株価の予想レンジを、1万9600~1万9900円と見込む。2万円超えは、もう少し先の楽しみとなりそうだ。

馬渕 治好 ブーケ・ド・フルーレット代表、米国CFA協会認定証券アナリスト

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まぶち はるよし / Haruyoshi Mabuchi

1981年東京大学理学部数学科卒、1988年米国マサチューセッツ工科大学経営科学大学院(MIT Sloan School of Management)修士課程修了。(旧)日興証券グループで、主に調査部門を歴任。2004年8月~2008年12月は、日興コーディアル証券国際市場分析部長を務めた。2009年1月に独立、現在ブーケ・ド・フルーレット代表。内外諸国の経済・政治・投資家動向を踏まえ、株式、債券、為替、主要な商品市場の分析を行う。データや裏付け取材に基づく分析内容を、投資初心者にもわかりやすく解説することで定評がある。各地での講演や、マスコミ出演、新聞・雑誌等への寄稿も多い。著作に『投資の鉄人』(共著、日本経済新聞出版社)や『株への投資力を鍛える』(東洋経済新報社)『ゼロからわかる 時事問題とマーケットの深い関係』(金融財政事情研究会)、『勝率9割の投資セオリーは存在するか』(東洋経済新報社)などがある。有料メールマガジン 馬渕治好の週刊「世界経済・市場花だより」なども刊行中。

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