「日経平均2万円無理かも説」はいつ崩れるか 強気にも弱気にもなれない投資家が増加中

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このように、目先は上にも下にも決め手となる材料を欠いた状況が続きそうだ。米政権の体たらくは相変わらずだが、今後は特別検察官の調査を待つ必要があり、すぐに大統領の去就に結びつく、ということではない。さしあたっての米国経済の材料とすれば、6月2日(金)に発表される5月分の米雇用統計だろうが、緩やかな雇用の改善傾向を覆すような内容とはならないだろう。

2017年は小型株が全体相場を牽引する形に

一方日本国内においても、大きな材料は見出しにくい。日経平均が2万円をなかなか超えないため、なぜ超えないのか、その理由を探そう、という専門家やマスコミも増えている。

市場を動かす要因というのは、常に、100%すべてが良いとかすべてが悪い、ということはない。どんなに景気が良くても、少しくらいは悪いところがあるものだ。したがって、株価が上がらない理由を見つけようとすれば、必ず何かは見つかる。このため、日経平均が2万円を超えない→超えない理由を探し出してくる→超えないという気分への確信が強まる→上値で戻り売りをする投資家が増える→このため2万円を超えない、といった、自己増幅的な「上値の重さ感」が一段と強まっているようだ。

一方で、この全く真逆の心理が、「下値の堅さ感」も強固にしてしまい、ますます市況がこう着する、という事態になっている。最終的には、さすがに企業収益水準の上昇が、株価を上方向へと土俵際に追い詰めていく展開となり、徳俵を割って2万円を超えるだろうが、怒涛の攻めとはなりにくいのだろう。

こうした閉塞感が全体的に漂っているため、足元では代表的な大型株を物色しづらい空気が強い。したがって消去法的に、小型株の物色が活発だ。
小型株の値動きがよいのは、このような最近の全体膠着商状だけが要因ではない。実は、東証大型株指数を小型株で割った比率をみると、2015年以降のほとんどの期間で、同比率とTOPIX(東証株価指数)は並行的に動いてきた。すなわち、大型株の株価の動きが、東証1部全体を左右してきたと言える。

ところが今年に入ると、両者が逆行する展開が堅調になってきている。小型株の上昇が全体相場を押し上げるといった、これまではなかった形だ。この背景としては、海外要因や円相場などの、全般的な投資環境に基づいた大型株物色よりも、個々の企業の収益の成長性などに着目した、個別的な小型株物色を行う、という流れが底流にあると考えている。

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