トランプ大統領を待ち受ける「恐怖の1週間」 米議会休会が逆風になりかねないワケ

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多くの共和党議員にとって、トランプ大統領の支持者は、自らの支持者でもある。言い換えれば、来年の議会選挙でトランプ大統領の支持者が投票してくれなければ、自らの再選が危うくなる。地元で支持者の反応を体感してみるまでは、うかつに大統領批判に転じるわけにはいかない。

これまで波乱が多かったトランプ大統領の政権運営でも、共和党議員の多くが大統領に忠実に従ってきた。政治分析サイトのFiveThirtyEightは、議員の投票行動を分析し、どの程度の割合でトランプ大統領の方針に同調してきたかを分析している。それによれば、下院では100人以上の共和党議員が、100%トランプ大統領の方針と同じ投票を行っている。すべての共和党下院議員を平均しても、トランプ大統領の方針に賛成した割合は、97%にまでしか下がらないという。

世論調査が示す「気になる兆候」

共和党議員にとっての最大の関心は、どこまでコアなトランプ支持者が大統領についていくかだ。

世論調査には、気になる兆候がある。「トランプ大統領を強く支持する」と答える割合が、低下傾向にあることだ。今年2月に30%前後の割合だった「強く支持する」との回答は、最近では20%強にまで低下している。

FiveThirtyEightの分析によれば、これは予備選挙の段階でトランプ大統領が得ていた支持者の割合とほぼ一致する。ほかの共和党候補から乗り換えてきた支持者が剝落する一方で、予備選当時からの支持者だけが、いまだにトランプ大統領を熱烈に支持している様子がうかがえる。

もちろん、有権者の反応は、疑惑捜査の進展次第である。米議会では、5月24日に予定されていたジェームズ・コミー前米FBI長官の下院委員会での証言が、2日前になってメモリアルデー休会明けに延期された。休会前に悪材料が出かねない場が設けられなかったことで、議員が地元で反乱を体感するリスクは小さくなったのかもしれない。

休会を終えた議会は、6月5日に再開される。その次に議会が休会に入るのは、7月4日の独立記念日を含む7月の第1週だ。1カ月の疑惑の進展をみたうえで、議員は再び地元に帰る。来年の議会選挙が終わるまで、地元の反応を探りながら、トランプ大統領との距離を測る日々が続くことになる。

安井 明彦 みずほリサーチ&テクノロジーズ 調査部長

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やすい あきひこ / Akihiko Yasui

1991年富士総合研究所(現みずほ総合研究所)入社、在米日本大使館専門調査員、みずほ総合研究所ニューヨーク事務所長、同政策調査部長等を経て、現職。政策・政治を中心に、一貫してアメリカを担当。著書に『アメリカ 選択肢なき選択』(日本経済新聞出版社)などがある。

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