「マンホール」から測るプロ野球の地域密着度 ここでも「広島カープ」はケタ違いだった
それでは他の7球団の地元自治体はどうなのか、今後設置の計画があるのかどうか聞いてみた。
読売巨人軍と東京ヤクルトスワローズの本拠地・東京都、千葉ロッテマリーンズの本拠地・千葉市、中日ドラゴンズの本拠地・名古屋市にはいずれも設置予定がない。
オリックスバファローズについては、現在の本拠地である大阪市と、かつての本拠地である神戸市双方に聞いてみた。神戸市にはJリーグのヴィッセル神戸もあるが、どちらについても設置の実績、予定ともになし。ただし、「個別チームのものはないが、ワールドカップ開催の際は、ワールドカップバージョンのものを作った」(神戸市建設局下水道部)という。
大阪市も設置実績、予定ともにないという。オリックスバッファローズだけでなく、阪神タイガースバージョンについても聞いてみたが、こちらも過去に設置したことも、今後の予定もないという。その阪神タイガースが本拠地にする甲子園球場は、梅田から阪神電鉄で特急ならわずか12分の距離にあるが、所在地は大阪府ではなく兵庫県西宮市だ。
西宮市に聞いてみたが、設置の実績、予定ともになかった。校歌と同じように、小学生が阪神タイガースの球団歌「六甲おろし」をそらんじているとも言われる土地柄からすると、かなり意外だ。
「タイガース版」はないが「甲子園版」はあちこちに
ただし、甲子園バージョンのマンホールのふたならあり、その数は実に3万個。これだけあると、甲子園球場周辺にはもちろんあるし、西宮市内なら簡単に発見できる。
最後に北海道日本ハムファイターズの本拠地・札幌市。最寄り駅・地下鉄福住駅から札幌ドームまでの道のりは徒歩で10分ほど。ご当地バージョンを設置可能なマンホールはその間にたくさんある。
実際、「2年ほど前から設置計画はあり、同じ札幌ドームを本拠地とするJリーグのコンサドーレ札幌バージョンと併せて検討していた」(札幌市下水道河川局)という。
しかし、昨年5月に球団の北広島市への移転計画が報じられ、年末には球団と親会社の日本ハム連名で、移転するかどうかを1年かけて検討することが正式に発表された。もしも球団が札幌から出て行くとなれば、設置しても意味がないため、「検討自体、中断している」(札幌市下水道河川局)という。
言うまでもなくマンホールは税金を使って設置する公共物である。自治体は納税者から支持される自信が持てないかぎり動かない。
各球団が地域密着路線を志向しはじめてからかれこれ十数年。たかがマンホール、されどマンホール。プロ野球マンホールは、球団が地域住民のものとして定着したうえで、かつその思いを自治体がくみとって初めて実現するものだ。
球団を応援するために、広島市は率先して税金を投じ、200個近くも設置した。広島市民にとってのカープは、やっぱり「ケタ違い」に大きな存在なのだろう。
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