マツダ「ロードスターRF」乗ってわかった実力 最新スポーツカーはこんなにも快適で楽しい
正直言って、記者のレベルでは悪いところを探すのが難しい。シフトチェンジがスムーズなだけでなく、コーナーでは意のままに曲がる。山道や高速道路のRのきついコーナーを結構なスピードで突っ込んでいっても挙動が乱れない。市街地でも高速道路でもおよそ乗り心地の悪さは感じない。昔のスポーツカーは運動性能を高めるために、いわゆる乗り心地を犠牲にして道路の凸凹や継ぎ目を拾ったときにゴツゴツと突き上げるようなこともあったが、そんな挙動はほとんど感じなかった。
ゆっくり走っていても、そこそこのスピードで走っていても「楽しい」と感じる雰囲気がある。アクセルを強めに踏み込めばマフラーからスポーティな排気音が聞こえてくる。そして良い意味で想定外だったのは、体感的にも実測的にもロードスターRFは「相当速いクルマ」だということだ。
最高出力158馬力、最大トルク20.4kgf・mというと、カーマニアから見ると物足りない数字に見えるかもしれない。2000ccのハイパワーエンジンだと自然吸気でも200馬力、ターボエンジンだと300馬力も珍しくない。それと比べると数字上は非力に見えなくもない。
2000ccターボ車と遜色のない速さ
記者も2000ccターボエンジンで最大250馬力というハイパワーなクルマに乗っていたことがある。ところが、体感的にロードスターRFはそれと同等以上の速さを持っていた。高速道路では、追い越し車線をかっ飛ばすメルセデス・ベンツやBMW、国産の上級車に余裕でついていける。そういう場面において、自家用のミニバンで感じる躊躇や恐怖はみじんもない。
あくまで私見ながら理由は3つあると思う。まずは車体の軽さ。ロードスターRFは1100キログラム程度しか車体重量がない。軽さはクルマの運動性能にとって大きな武器となる。いくらパワーがあっても重いと軽快な動きはできない。
2つめはカタログ値を大きくするためのピークパワーを追っていないことだ。むしろ実用的なエンジンの回し方でしっかりとパワーが出る設計になっている。マツダ国内営業本部ブランド推進部の神田篤氏によれば、「2000ccのエンジンはトルクが大きく、余裕のある走りが基本。ギアをあまり変えなくても走っていける」。確かに通常のクルマならギアが上がるほど、加速力が落ちるにもかかわらず、ロードスターRFなら高速道路の上り坂で6速に入っていてもグイグイ加速していける。追い越しも楽々だ。
3つめは接地感の高さ。車体の剛性が高く、足回りの絶妙なセッティングもあるのだろうが、結構な速度で走っていても安心感が高い。むしろ、スピードが上がるほど地面に吸い付いていく。高速道路で長時間走っても疲れにくいという印象を受けた。
「スポーツカーってカタログパワーじゃないんだ」。誰も聞いていないのに1人でロードスターRFを走らせながら、車内で思わず独り言を発してしまった。無論、ロードスターRFに絶対的な速さを求める人は少ないだろう。だけど、いざというときにはものすごく頼りになる。オーナーにとってそんな相棒といえる。