AIでわかった!大谷翔平の知られざる「弱点」 電通とNHKが仕掛けるスゴイ野球中継とは
プロジェクトの発足は約1年前にさかのぼる。電通ラボが人工知能を利用した試みを模索していたときだった。
当時は音楽分野についても取り組みが進んでいたというが、「偶然、NHK関係者から野球中継をもっと面白くできないかという話を聞いたことがきっかけになった」(電通ラボ・クリエイティブディレクターの田中直基氏)。そこで、コズモ社などを含む複数の会社による共同プロジェクトが立ち上がった。メンバーは現在37人になっている。
ズノさんの配球予測では、ピッチャーとバッター、キャッチャーのさまざまなデータを組み合わせる。さらに、ランナーの有無、ランナーがいる場合は盗塁数を加味。ストライク、ボール、アウトのカウント、点差、直前の数球の投球内容など、膨大な情報から「ストレートの確率45%、コースは内角低めの確率が高い」などと予測する。現段階で、配球の予想的中率は4割弱だという。
選手の意外なデータを続々発掘!
選手の知られざる特徴を明らかにするのも、ズノさんの役目だ。大谷選手の場合、「満塁で打席が回ってきたときの三振率が両リーグで1位」といった意外なデータから、冒頭で述べたような、「月齢3日目の三日月の日には四球を与える確率が2.6%と平均(8.7%)の約3分の1になる」と因果関係が不明なデータまで出てくる。
ほかにも「中村剛也選手は満塁ホームランの数で1位、かつフルカウント時のホームラン数でもトップ」(両方とも2004年以降、満塁およびフルカウントの通算打席数が100以上の選手が対象)といった勝負強さを表すデータがある。
また、通常、打者は2ストライクに追い込まれた場面では打率が低下するものだが、「日ハム・杉谷拳士選手と阪神・西岡剛選手は逆に打率が上昇する」ということもわかっている。これらはデータマイニングと呼ばれる手法を応用して導き出したものだ。
野球解説者は自らの観察眼や経験、取材などを基にゲームを解説するが、そこにズノさんの多様なデータが加われば、より詳しく、楽しく、ファンを引き付ける解説ができるようになるだろう。
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