なぜ安倍昭恵夫人の言動は「軽い」のか? 神さまに呼ばれ「自分探し」
AERAでは、これまでに複数回、昭恵さんのインタビューを掲載してきた。彼女の名刺に肩書はなく、「安倍昭恵」とだけ記されている。連絡先は、安倍晋三事務所と自宅だ。
日本マナー・プロトコール協会理事であり、外務省の儀典官室で数多くの国賓・公賓の接遇をしてきた寺西千代子さんは、こうしたスタイル自体は、「時代に即している」と語る。
「公人の配偶者であれ、一個の独立した人間として活動するケースが増えています」
これまで日本の要人の妻は表舞台に出るケースはまれだった。だが、欧米では夫婦随伴が基本だ。夫婦で意見が異なることもあり、来日中はそれぞれ興味に沿った日程が組まれることもある。ドイツのシュミット元首相夫妻などは、「夫婦で異なる価値観を持ち、尊敬しあう関係が印象的だった」という。
昭恵さんのあり方は、従来の日本的な慣習から脱却したという点で画期的だ。だが、ふるまいについては、どうか。
東京工業大学教授で政治学者の中島岳志さんは言う。
「ファーストレディーは選挙で選ばれたわけではなく、政治的正当性を持ちません。政治的な言動は限定的に行い、節度を保つのは世界の常識です」
「ファーストレディー」のふるまいに、求められるものとは何か。菅直人元首相の妻、伸子さんに話を聞いた。
あまりに子どもっぽい
伸子さんが、首相夫人時代に引き受けた講演は数回だけ。依頼は多く舞い込んだが、事務所が彼女の意思を確認し、ふるいにかけていた。
「政治家の周囲には様々な人が集まってきます。中にはとんでもないことを頼む人も、利用しようとする人もいます。もっと気をつけたほうがいいと思いますよ」(伸子さん)
伸子さんが「理解不能」と断じるのは、昭恵さんがしばしば夫の了承を得ず行動している、と報じられていることだ。
「私が表に出るときは、必ず夫の耳に入れていました。夫に反対されても、思いがあればやることもありますが、何も話さず受けることは考えられない。私の行動でも、必ず政治家である彼に影響がいきますから」
伸子さんは昭恵さんの行動について、「軽い」と指摘する。冒頭の発言がその証左だ。