マクドナルドの復活で見落とされがちな本質 「不祥事を消費者が忘れただけ」の見方は違う

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この総選挙企画は、自分の推しバーガーに投票し、日本一のマクドナルドのバーガーを決めようという企画でした。ネットで実施されるファン参加型キャンペーンとしては目新しいアプローチではないかもしれませんが、特に印象深かったのが、商品のパッケージに印刷されたQRコードから投票を実施する形になっていた点です。

通常のネットでの投票企画では、ファン以外の人たちの間でネタになり、ネット掲示板ユーザーなどの組織票で投票結果が大きく変わることが良くありますが、

マクドナルド総選挙ではあえて誰でも投票できるネット投票をメインにする形ではなく、商品パッケージのQRコードを投票権代わりにすることで、実際に店頭に足を運んでいる顧客の投票を重視する形にしていました。

一見、企業視点で考えると、誰でも投票できるネット投票を重視することで、より日本中の大勢の人を公平に扱うほうが盛り上がると思ってしまいがちです。でも実は、顧客視点で考えると、店頭に足を運んでいる顧客の投票が重視されるようにすることで、より店頭に来ている自分達一人ひとりの投票が大事にされていると感じるわけです。

これはAKB選抜総選挙の投票権が、誰でも投票できるオンライン投票ではなく、CD購入やコンサートチケット等と結びついているのと近い考え方といえるでしょう。

この結果、マクドナルド総選挙では、それぞれのバーガーのファンの人たちが頻繁に店頭に足を運んで自分の推しバーガーに投票を行うという一種のお祭り状態が発生し、マクドナルドの業績向上にも大きく寄与していたようです。

ポケモンGOとのコラボ企画

『顧客視点の企業戦略 アンバサダープログラム的思考』(宣伝会議)。書影をクリックするとアマゾンのサイトにジャンプします

ポケモンGOとのコラボ企画についても、足立氏を中心に数人のプロジェクトチームで進めたそうですが、もしマクドナルドが企業視点で単純に宣伝効果だけを求めていたのであれば、リリース前のポケモンGOとのコラボには、実際にマクドナルドの来店につながるかどうかのリスクが多数存在しており、コラボを見送った他の多くの企業と同様に初回からの実施は見送られたかもしれません。

マクドナルドが他社に先駆けてポケモンGOのリリース直後からコラボ企画を実施するという英断ができたのは、足立氏自身がポケモンGOの兄貴分である位置情報ゲームのイングレスをプレーしていて、マクドナルドとポケモンGOのコラボが、ポケモンGOのプレーヤーにとってマクドナルドに来店するきっかけになるという顧客視点での確信が持てたからでしょう。

なんでも、マクドナルドでは「ラブ・オーバー・ヘイト」という、顧客が盛り上がるような施策を通じてヘイトを乗り越えるということを意識したマーケティングを実施されていたそうです。

不祥事の過程で失われかけていた顧客のマクドナルドに対する愛情を再び思い出してもらい、様々な企画を商品と共に楽しんでもらい、その結果、不祥事の印象を新しいマクドナルドの楽しい思い出で塗り替えていくというイメージでしょうか。

マクドナルドのV字回復は、消費者が不祥事を忘れたことによる自然回復だけではありえません。

徳力 基彦 noteプロデューサー、ブロガー

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とくりき もとひこ / Motohiko Tokuriki

NTTやIT系コンサルティングファーム等を経て、アジャイルメディア・ネットワーク設立時からブロガーの一人として運営に参画。代表取締役社長や取締役CMOを歴任し、現在はアンバサダープログラムのアンバサダーとして、ソーシャルメディアの企業活用についての啓発活動を担当。note株式会社では、noteプロデューサーとして、ビジネスパーソンや企業におけるブログやソーシャルメディアの活用についてのサポートを行っている。
個人でも、日経MJやYahooニュース!個人のコラム連載等、幅広い活動を行っており、著書に「顧客視点の企業戦略」、「アルファブロガー」等がある。

 

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