独身貴族ほど「老後資金の不足」に苦しむワケ 「誘惑」に負けない老後資金の貯め方とは?

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すなわち、おひとりさまこそ、今の生活を改善し、老後に向けた貯蓄に精を出すべきなのです。仮に毎月3万円、ボーナスごとに20万円のペースでおカネを貯められるなら、45歳で貯蓄をスタートしても、元本ベースで60歳の定年までに1140万円も貯められます。これに年3%の利回りが確保されれば、なんと1432万円まで残高はふくらみます。

同じペースで35歳から貯められれば、60歳時点での残高は2800万円を超えます。すなわち、「もう結婚はないかなあ」と思ってからスタートしたとしても、十分に時間はあるのです。子育てファミリーにはできない目標も、おひとりさま正社員なら頑張れば実行できるものです(「いや俺無理」という人ほど家計改善の余地が大きかったりする)。

「誘惑」に弱い人には、iDeCoとNISA

ただ、おひとりさまにとって「おカネはあるけど使わずにガマンする」というのは、誘惑との闘いです。自分が自分にOKを出してしまえばずるずるおカネを使えてしまうからです。自分に甘いという自覚があるならば、解約が困難な口座を利用するといいでしょう。iDeCo(個人型確定拠出年金)やNISA(少額投資非課税制度)は税制優遇もあり、老後資産形成の口座としてオススメです。

NISAは年120万円まで投資をすることができ、利益には課税されないしくみです。投資をした年から数えて5年目の年末までに利益確定をするのですが、1度売ってしまえばその後値上がりしても税制優遇を取り逃すことになるので、できれば売らずにいこう、という気持ちで投資ができます。来年から始まる積み立てNISAは最大20年非課税投資ができるのでもっと長期にわたって資産形成できます。

iDeCoは60歳まで解約禁止、という強力な制限があります。ある意味、老後のためのおカネを確実に老後まで繰り越せる口座といえます。その代わり用意されているのは税制優遇で、NISAと同様に運用で増やした利益の課税がゼロとなるだけでなく、毎月の積み立てた原資についても課税されません。所得税や住民税を20%相当引かれている人であればiDeCoに積み立て定期預金をしておくだけでも、20%以上儲かったも同然ということになります。

たとえば、1万円稼いだ場合、そこから所得税や住民税が2000円引かれて、手取りは8000円程度になると仮定します。これがiDeCoを使えば、1万円まるごと貯まり、本来なら8000円の積み立てになるところ、2000円の利息が乗ったも同然、ということになります。初年度の利益だけ考えれば25%稼いだ(=税負担が少なくてすんだ)ことになるほどです。

おひとりさまの場合、とくに若いうちはどうしても目の前の生活のことばかり考えがちです。しかし若いうちにこそ老後のことはもっと自覚的になるべきです。男性の2人に1人は85歳、女性の2人に1人は90歳まで長生きをする時代です。遠い将来に備えておく取り組みは決してムダにならないはずです。

老後のおカネの不安は、今や国民的不安となっています。日本銀行内に事務局を置く金融広報中央委員会の2016年の調査(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」)では、金融資産の保有目的の第1位は老後への備えとなっています。2013年に病気やケガの備えを上回ってから、4年連続の首位です。

同調査を世代別にみても、40歳代以降のおカネの不安の第1位は老後のおカネの問題となっています。「老後破産」「下流老人」といった言葉が流行しているのも、まさに老後のおカネの不安があるからなのでしょう。しかし、ぼんやりとした不安はあっても、具体的な解消方法がほとんど理解されていません。ぼんやりとした不安を先送りにしていたら、もう取り返しのつかない年代になっていた、ということもあります。

「おひとりさまの老後」も楽しくエンジョイできるように、できるだけ若いうちからおカネを貯めておきたいものです。

山崎 俊輔 フィナンシャル・ウィズダム 代表 ファイナンシャルプランナー

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やまさき・しゅんすけ / Syunsuke Yamasaki

1972年生まれ。中央大学法学部卒業。企業年金研究所やFP総研を経て2001年独立。全国紙などで連載。著書に『普通の会社員でもできる日本版FIRE超入門』など。

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