日本は「後追いの国」と割り切ったほうがいい 国内だけでイノベーションを生むのは無理だ
アメリカ人とミーティングするとき、彼は路駐していた。すると駐禁の罰金を取られたわけですよ。「なんで駐車場を探さないの?」って聞いたら、「駐車場を探していたら、ミーティングに15分遅れて、相手に対して失礼なことになる。駐禁を取られても20ドル、駐車場に停めたって10ドル。だったら、堂々と駐禁を取られればいい」って言ってきた。日本人の僕は、そういう発想がなかった。駐車場を探しながら、「10分遅れます」って電話を入れることが普通のように考えていた。これはやっぱり発想の違いだと思うんですよ。
――日本は、今のやり方をドラスティックに変えられるわけではない、と割り切るのは、少し寂しい印象もあります。
僕たちがWiLで進めているオープンイノベーションは、「日本企業は自前主義を捨てて、外部と積極的に組んでいきましょう」ということ。組む相手というのは、国内のベンチャーだけを想定しているわけではない。国境を超えて、「どこでやると何ができるか」という発想を持ってほしい。
規制の違う海外をどんどん利用すべき
いまだに何でもかんでも「日本国内でやらなきゃいけない」と考えている企業が多い。でも、太平洋を渡ればシリコンバレーがある。西側に行けば、中国やシンガポールなど規制がまったく違う環境もあるわけです。日本国内で完結させないことが、日本企業がイノベーションを進めていく上での現実的なソリューションだと思います。
――そういった発想は、まだまだ根付いていない?
多くの政治家は「海外でやると日本の頭脳や技術が流出する」と、過度におびえているように思います。しかし、閉じ込めようとしたって優秀な人はアメリカなど海外の大学に行きますよね。そんな心配をしている暇があったら、エネルギーが余っている人には海外に出て新しいことを試してもらい、いずれ日本でも実践する、という流れを支援したほうがいい。
そもそも、人の動きをつなぎ止めようという発想が、古いと思うんです。実際に僕はシリコンバレーで活動していますが、日本に全然関係ない仕事をしているわけではない。「日本の国のためになるようなことをやらなきゃ、海外に行った日本人としてはカッコ悪い」って考えて必死に頑張る日本人のほうが多いと思うんですよね。
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