森友問題、自民党が証人喚問を決めた舞台裏 実は官邸がパワーダウンしている
最近の大臣政務官人事は、如実にパワーダウンぶりを物語っている。
3月10日、官邸内で臨時の大臣政務官会議が開かれた。台風被災地での失態や「長靴発言」で務台俊介内閣府大臣政務官兼復興大臣政務官が辞任し、代わって長坂康正衆院議員が就任した。その初顔合わせとなったのが今回の大臣政務官会議だが、終始異様な緊張感に包まれていたという。会合に参加したひとりがこう述べる。
「その原因は務台氏の首が飛んだことにあるのはもちろんだが、この日に中川俊直経済産業大臣政務官の不倫問題が週刊誌で報じられている。臨時に大臣政務官会合を開催したのは、こうした緩んだ風紀を引き締めるという意図もあったのだろう」
3月10日発売の写真週刊誌は、中川氏が深夜に自民党の前川恵衆院議員のマンションを訪れ、数時間滞在したことを大きく報じていた。この不倫問題は永田町では務台氏の失言問題以上に話題となったが、中川氏に大きなおとがめがなかったのは「続けて処分者を出せるほど、今の安倍内閣には余裕がない」(自民党関係者)ということかもしれない。
そういう意味では籠池氏を証人喚問し、安倍首相の潔白を証明することで、党勢回復に繋がることを期待しているのだろう。
「偽メール事件」の教訓
「私や妻がですね、この認可あるいはこの国有地払い下げにですね、もちろん事務所を含めて一切関わってはいないことを明確にさせていただきたい。もし関わっていたらそれはもう、私が総理大臣を辞めるということですから、それははっきりと申し上げたい」
安倍首相が国会でここまで宣言した問題に取り組んでいる民進党にとって、今回の証人喚問はまたとない好機といえる。「だからこそ慎重にやっていきたい」(泉健太衆院議運理事)。その姿勢はやや慎重だ。
というのも旧民主党時代に「偽メール事件」で、前原誠司代表(当時)、鳩山由紀夫幹事長(当時)、野田佳彦国対委員長(当時)の首が飛び、支持率は大きく低下したという経験があるからだ。巻き込まれた永田寿康氏は議員辞職を余儀なくされ、その後に自ら命を絶つという悲劇もあった。その教訓は決して忘れてはならないものであり、同党にとってのトラウマでもある。
当の籠池氏は「全て国会でお話しする」と証人喚問に意欲を見せる。3月16日の参議院予算委員会による瑞穂の國記念小學院の視察に立ち会った後、「われわれもみな犠牲者ですよ。建物もできる限り公的資金を投入して、われわれを助けてほしいとお伝えした」と述べるなど、いまだ小学校設立の夢を捨てていない。
果たして3月23日に予定される証人喚問で、どのような真実が明らかにされるのか。森友学園問題の深い闇は、簡単に解きほぐされるようには見えない。
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