サバだけで勝負!「鯖や」は何がスゴイのか 預貯金1.5万円から年商約10億円へ復活

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次に右田社長が取り組んだのが、念願の「とろ鯖料理専門店」の開業でした。場所は大阪市福島。舌の肥えた大阪人をうならせる店がひしめくグルメ店の激戦区です。事業に成算はあるのですが、先立つものがありません。でも資金繰りで大変苦労した右田社長は、開業資金の調達に慎重にならざるをえません。

悩んでいた右田社長にヒントをくれたのが、地元の豊中商工会議所でした。担当の方が、右田社長のサバに対する熱意に共感、新しいサバのマーケット創造にふさわしい資金調達方法を教えてくれました。それが「クラウドファンディング」です。

簡単にいうと、製品・サービスの開発、アイデアの実現のため、インターネットで不特定多数の人から資金や協力を募る方法です。最近ではいろいろな事業に活用され、大ヒットしたアニメ映画『この世界の片隅に』は、クラウドファンディングで資金を集めて制作にこぎ着けたことでも話題になりました。

とろさば料理専門店SABAR(サバー)大阪福島店(筆者撮影)

「とろサバを世界ブランドに」と銘打って、2013年9月から「とろさば料理専門店SABAR(サバー)」の出店費用1788万円を募集しました。1口3万円で3万3000円が返ってくる仕組みで、サバずし3150円相当ももらえます。無事目標額を達成し、福島店がオープンします。右田社長は、多くの方の支援を受けられた理由を次のように考えています。

「とろさば料理専門店が世の中になかったこと、会社がサバ1本でやってきたこと、それとサバ料理を応援したいと皆さんが考えてくれたこと、この3つが応援の理由だったと思います」

出資者がお店の応援団に

そして、クラウドファンディングのいいところは、出資者がお店の応援団となって実際に食べに来てくれることです。さらに、これだけのファンがいるということをマーケティングとして示せるので、追加の必要資金を金融機関に頼むのもスムーズになります。

「まだあまりクラウドファンディングが知られていない頃の挑戦でした。飲食業界でのクラウドファンディングのパイオニアという自負があります」と右田社長。そして、クラウドファンディングでの成功の秘訣を、次のようにまとめられました。「まずは情熱です。自らの熱い思いを支援者にストレートに伝えることです。次は、わかりやすさ。うちで言えば、サバ1本に絞っていることです。不特定多数の人に訴えるにはシンプルでなければならないと思います」。

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