ベンツ、新型「CLAクラス」の役割 斬新デザインの4ドア車、「手の届く」価格で登場
象徴的なのは、昨年、6年ぶりにフルモデルチェンジ(全面改良)した新型Bクラスと、今年1月に7年ぶりのフルモデルチェンジで日本投入された新型Aクラス。いずれも大胆な変身を遂げた。とくに、従来、背高でファミリーカーのようだったAクラスは、車高が低く、流れるようなデザインの車に生まれ変わった。車両本体価格は284万円から、とベンツにしては手頃な価格で設定され、足元の販売好調を支えている。
ベンツの武器は「ブランド」。ここ日本でも長らく富裕層に好まれ、高級車としてのイメージを確立している。トヨタ自動車の高級車ブランド「レクサス」が、ベンツ、BMWなどの欧州高級車メーカーになかなか及ばないように、日本車メーカーが一朝一夕には追いつけない無形の資産を築いている。
「一目でベンツとわかる」デザイン
だからこそ、大変身したAクラスやCLAクラスによって、さらに客層を広げる戦略が描けるのだろう。Aクラス、CLAクラスともに、フロントマスクは高級車ベンツ特有の迫力があり、伝統のスリーポインテッドスターのマークと相まって、一目見てベンツとわかるデザインとなっている。みずからのブランドを殺さず、逆に生かしつつ、新しいコンセプトの製品を出していくというやり方がうまいと感じる。
ベンツが手頃な価格のモデルを相次いで出せている背景には、世界的な環境規制の強化を受けたダウンサイジングの流れがある。各メーカーともエンジン排気量を抑えた車の投入が目立ち、ベンツはターボの技術を洗練することで、これに対応している。結果として、小排気量エンジンでコストを抑えながら、従来になかったモデルを開発・投入できるようになってきている。日本車が同じような戦略を採ろうとしても、そう簡単には追いつけまい。日本市場で高級車ブランドの確固たる地位を築いたベンツは、それをますます固めているように見える。
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