極右と安倍首相の親密関係こそ問題の本質だ 森友学園問題を欧米メディアはどう報じたか

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スキャンダルの政治的な影響はどうだろうか。安倍首相は首相になってから「最大の危機に瀕している」と報じているのがワシントンポスト紙アンナ・フィフィールド東京支局長による記事だ(2月27日付)。

もしスキャンダルが雪だるま式に大きくなり、首相の関与度がはるかに大きなものだったことが判明した場合、「致命傷となり得る」と政治評論家たちは見ているという。「安倍政権を揺るがしかねない」(元毎日新聞の記者で評論家の板垣英憲氏)。森友学園問題は地方政治や財政問題であるばかりか、日本の近隣国との外交問題にも発展しかねないからだ。

安倍氏は支持率が60%を超え、与党自民党内部や最大野党民進党からも大きな挑戦を受けていないが、このスキャンダルで「衆議院解散と総選挙の時期を遅らせる可能性もある」と支局長は結論付けている。

一方、ロイターは3月2日付記事で、通常であれば安倍首相は第3期目実現も夢ではない状態にある、という。ただし、今回のスキャンダルで安倍首相にも「弱点がある」ことが判明した。スキャンダルを乗り越えられるのかどうか、「評論家たちの意見は分かれている」。

経済の先行きへの不安感に加えて、憲法改正への動き、東日本大震災後に停止された原発の運転再開などの政策が「順調に進まなくなる可能性がある」との政治評論家・有馬晴海氏の声を記事の最後で紹介している。

極右勢力との親密な関係を問題視

多くの報道で共通しているのは、極右勢力と現政権との関わりを問題視し、そこに問題の本質があると指摘していることだ。

安倍首相は参議院予算委員会における論戦がこの問題に終始していることに辟易とした表情をみせ、早期の幕引きを期待しているようだ。しかし、民進党、日本共産党などの野党にとっては追及の手を緩める理由がないだろう。日替わりで新事実が判明するこのスキャンダルの行方を欧米主要メディアは引き続き注視していくことだろう。

小林 恭子 在英ジャーナリスト

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こばやし・ぎんこ / Ginko Kobayashi

成城大学文芸学部芸術学科(映画専攻)を卒業後、アメリカの投資銀行ファースト・ボストン(現クレディ・スイス)勤務を経て、読売新聞の英字日刊紙デイリー・ヨミウリ紙(現ジャパン・ニューズ紙)の記者となる。2002年、渡英。英国のメディアをジャーナリズムの観点からウォッチングするブログ「英国メディア・ウオッチ」を運営しながら、業界紙、雑誌などにメディア記事を執筆。著書に『英国公文書の世界史 一次資料の宝石箱』。

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