M-1ファイナリストの妻が変えた夫の逃げ癖 スーパーマラドーナ田中の知られざる失踪劇
結婚をして1年にも満たない2人。ヒカリさんは夫の逃げ癖が出ないよう、落ち込んでいる日はなんでも賛同する、落ち着いたころにアドバイスするなどまるで子供を育てるように世話をやいていた。それもこれも、夫への愛、そして何より夫の芸人としての才能を信じているからこそ。
妻との出会いで変わった逃げ癖夫! いざ、大舞台へ!
そんな結婚は、確実に田中を変えていた。実際、かつてネタのすべてを相方の武智に任せていた田中が、「あと1個だけボケを変えたいんです」と夜中まで粘ってネタ作りをする姿が見られるように。そしてこの変化が結果に現れた。スーパーマラドーナは昨年末の「M-1グランプリ」で優勝を争う9組に勝ち残ったのだ。
それは、逃げ癖夫とヒカリさんが夫婦になって初めて迎える大舞台。そんな「M-1グランプリ」を直前に妻の思いはただ1つ。「大舞台から逃げ出さないでほしい」。それだけだった。
大会当日。本来ならば、ゲンを担いだ食事や豪勢なメニューで夫を送り出したいところだが、ヒカリさんは下手にプレッシャーがかからないようにと、特別感のない夫の好物「にゅうめん」を選んだ。いつもどおりに服を着替えさせた。
出発のとき。そのまま送り出すかと思いきや、夫の逃げ癖が心配な妻は、最後の最後に逃げ出さないよう新大阪駅まで送り届けた。その後、逃げ癖夫・田中は東京で相方・武智と合流し、無事に会場入り、本番を待っていた。
一方、妻のヒカリさんは、本番直前に夫の事務所の先輩、ザ・ぼんちのおさむ師匠の自宅を訪ね、本番まで待機。夫の大舞台を1人で見る勇気が出なかった。
午後6時半。ついにM-1グランプリがスタート。妻にとって心配なのが、逃げずに舞台に現れてくれるかどうか。かじりつくように見る画面に、夫の姿を発見し、まずは一安心した。
3503組が参加した昨年のM-1グランプリ、この日決勝に進出できたのは、9組。この9組の中で獲得点数上位3組が次の最終決戦に進むことができる。スーパーマラドーナは、なんとこの上位3組に残り、最終決戦に進出した。
グランプリは、同じ事務所の3期後輩、銀シャリ。その時妻は、テレビに向かってつぶやいた。「よう、頑張ったね」。
「ほんまによく頑張ってくれたなっていうだけです。悔しい気持ちもあるんですけど」
そう言って流す涙は、逃げ癖夫を大舞台で優勝を争うまでに育て上げた、喜びの涙なのかもしれない。最後にヒカリさんに質問をしてみた。「田中さんのどこを好きになったんですか?」。ヒカリさんはこう答えた。
「いちばん面白くて、いちばんカッコイイ! 今から田中好きやって言っても、もう遅い。もう私います!」
逃げ癖のあるダメダメ夫。しかし、ヒカリさんにとっては誰よりもカッコよく見える男だ。
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