ヤマハ対JASRAC、著作者はどちら側に立つか 音楽教室から著作権料、他業態はすでに徴収

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もっとも、著作者と日頃から交流があるJASRACは、そうした動きも把握済み。大橋氏は「著作者の意向を無視して暴走しているわけではない。個々人にさまざまな意見があることは承知しているが、総意として反対ということはない」と自信を見せる。

著作者の主要団体の一つ、日本作編曲家協会は取材に対し、「理事会を開催して公式に意見をまとめたうえで態度を明らかにしたい」と回答を保留した。

そうした中、法律の専門家である新潟県弁護士会が、音楽教室側に立つ声明・意見書をホームページ上に掲載した。先行きを不安に思った音楽教師などから問い合わせがあり、同会の意見をオープンにすべきと判断したからだ。

権利はあっても、行使すべきなのか?

同会の菊池弘之会長は、「著作権法22条を文字どおりに読むとヤマハの主張は苦しい」と見る。その一方で「条文の適用には通常、解釈が必要となる。特に法律を形式的に適用すると、本来の趣旨に反する事態が生じるおそれがある場合に解釈で争う余地がある」と指摘する。

著作権法は第1条において「文化の発展に寄与することを目的とする」と、その趣旨をうたっている。

「権利を有していたとしても、それを行使するかどうかは権利者(JASRAC)の判断。音楽教室から徴収することはむしろ日本の音楽著作物の発展を阻害するおそれがある」(菊池氏)

音楽文化の発展を願う思いは両者同じはず。立場の違いを乗り越えて、著作者、権利者、利用者の3者間でバランスの取れた制度を構築できるだろうか。

藤尾 明彦 東洋経済 記者

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ふじお あきひこ / Akihiko Fujio

『週刊東洋経済』、『会社四季報オンライン』、『会社四季報』等の編集を経て、現在『東洋経済オンライン』編集部。健康オタクでランニングが趣味。心身統一合気道初段。

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